[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
マックスプランク協会(MPG)
元記事公開日:
2021/10/05
抄訳記事公開日:
2021/11/15

クラウス・ハッセルマン氏がノーベル物理学賞を受賞

Physik-Nobelpreis für Klaus Hasselmann

本文:

2021年10月5日付マックスプランク協会(MPG)の標記報道発表の概要は以下のとおりである。
気候研究者であり、MPG気候研究所の元所長であるクラウス・ハッセルマン(Prof.Dr.Klaus Hasselmann)教授は、真鍋淑朗氏およびジョルジョ・パリシ(伊、Giorgio Parisi)氏と共に2021年ノーベル物理学賞を受賞する。
クラウス・ハッセルマン氏と真鍋淑朗氏は、気候研究への基礎的貢献に対して、ジョルジョ・パリシ氏は、物理システムにおける無秩序と揺らぎの相互作用の研究に対して賞を受ける。クラウス・ハッセルマン氏は、大気中の急激な温度変動が長期的な海洋温度の変化にどのように影響を与えるかなど、短期的な天候現象と長期的な気候の変動がどのように連関しているかを示す、モデルを開発した。同氏は、気候変動が短期的であるにもかかわらず、気候モデルが信頼性の高い予測を提供できるという証拠を示した。このようにして、他の研究者と共に、大気中のCO2濃度の上昇と地球温暖化の関係を証明したのである。
同氏は、天候と気候を結び付けるモデルを開発し、たとえ天候が変化しやすく混沌としていても、なぜ気候モデルが信頼できるかという問題に答えている。さらに彼は気候の中の自然現象および人間の活動の結果としての特定のシグナルおよび指紋を識別する方法を開発した。同氏の方法を用いて、MPG気候研究所の研究者たちは大気の温度上昇の原因が人間によるCO2排出にあることを示した。

マルティーン・シュトラートマン(Martin Stratmann)MPG会長は次のように語った。
「MPG気候研究所の初代所長として、彼とハンブルクの仲間、およびマインツのMPG化学研究所の研究者たちは、1970年代から1980年代にかけて、ドイツにおける地球システム研究を大きく前進させ、国際的に通用するものにしてきた。1995年のパウル・クルツェン(Paul Crutzen)氏のノーベル化学賞と26年後のクラウス・ハッセルマン氏のノーベル物理学賞という2つの賞は、MPGにとっては、大きな成果であると共に、人類の利益のために、この分野での研究を継続する義務がある」。

[DW編集局]