[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ヘルムホルツ協会(HGF)
元記事公開日:
2021/10/06
抄訳記事公開日:
2021/11/18

バイオ燃料と飛行機の未来

Zukunft des Fliegens

本文:

2021年10月6日付ヘルムホルツ協会(HGF)の標記報道発表の概要は以下のとおりである。
現在の気候に関する議論では、航空はしばしば批判の矢面に立たされているが、科学者は、この状況を変えて、飛行を気候中立なものにしたいと考えている。合成燃料はそのソリューションとなるであろうか?
飛行は、人間社会が大気中に排出するCO2の約2.5%を占めている。これに他の排ガスや煤粒子の影響が加わると、航空による気候変動への影響は約5%になる。ドイツ航空宇宙研究センター(DLR)の航空戦略を担当するアンドレアス・クレックナー(Andreas Klöckner)氏は、「この状況を変えて、2050年までに欧州連合(EU)のグリーンディールの枠内で気候中立な飛行を実現することが我々のビジョンである」と述べた。
航空宇宙エンジニアは、既存の航空機をより効率的にすると同時に、一方で新しいドライブ方式も開発している。また、目標達成にはより飛行回数をへらすことも必要である。最後の選択肢は消費者と政治家に委ねられているが、最初の2つはDLRの科学者とエンジニアの仕事である。
アンドレアス・クレックナー氏と彼のチームが実施している合成燃料は合成ガスに基づくものである。今日、合成ガス自体は主にトウモロコシなどの再生可能エネルギー作物からつくられているが、これらのエネルギー作物は、耕地、肥料、植物保護、労働力を必要とするため、問題となる可能性がある。しかし合成ガスは、有機廃棄物からもつくることができる、たとえば、藁からもつくられる、または食料生産の残り物から、または動物の排泄物からつくることができる。
カールスルーエ工科大学(KIT)の研究者たちは、農林業からの藁やその他の残留物を液体燃料に変換する多段階プロセスを開発した。将来的にはバイオ燃料は、石油ベースの燃料の一部を混合または純粋に一部を置き換え、特にクリーンな燃焼を通じて環境および気候に関連した多くの利点を提供することができる。
第3の選択肢は、バイオマスを使わない方法で、このプロセスは、「液体燃料へのエネルギー」と呼ばれ、すなわちE-燃料である。自動車では、今日のE-燃料を搭載した燃焼エンジンは、バッテリー電気の競争相手よりもはるかに劣っている。しかし空の上では、異なった結果となる可能性がある。
アンドレアス・クレックナー氏は、次のように述べた「今日では、電気飛行は短距離路線の小型航空機にとって最もエコロジカルな意味を持っている。一方、合成燃料は、特に超長距離の非常に大型の機体にとって有用であり、水素は、その中間に位置する、エネルギーキャリアーとして他の全ての方式で考慮されることになる。水素はエンジンで直接燃焼される可能性があり、一方で燃料電池を介して電気に変換され、電気エンジンに供給することもできる。最終的にどの技術が勝ち残れるかは、わからない。我々の研究は、全ての方向を考慮して進めることが必要である」。

[DW編集局]