[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
フラウンホーファー協会(FhG)
元記事公開日:
2022/01/27
抄訳記事公開日:
2022/04/13

バイエルン州における「ミュンヘン・クオンタム・バレー」の設立

Erfolgreicher Aufbau des Munich Quantum Valley

本文:

2022年1月27日付フラウンホーファー協会(FhG)による標記報道発表の概要は以下のとおりである。

バイエルン州政府の意向表明からわずか1年で、「ミュンヘン・クオンタム・バレー(Munich Quantum Valley)」イニシアチブの設立文書の署名式が行なわれ、正式に設立された。3億ユーロのバイエルン州ハイテク・アジェンダからの資金助成に加えて、イニシアチブのメンバーは、すでに8,000万ユーロを上回る連邦資金を調達している。
マルクス・ゼェーダー(Dr. Markus Söder)バイエルン州首相は次のように述べた「量子コンピューティングは、全く新しいタイプの研究を可能にする。ミュンヘン・クオンタム・バレーでは、科学環境で最高のネットワークを構築する。世界の優秀な人材は、バイエルン州で学び、教えるべきである。「ハイテク・アジェンダ・プラス(Hightech Agenda Plus)」では、1万3,000の新しい研究職と1,000人の教授職に、合わせて35億ユーロを投資する。なぜならば、技術が未来を形成するからである。
フーベアト・アイヴァンガー(Hubert Aiwanger)州副首相兼経済大臣は「バイエルン州で最初となる量子コンピュータ『メイド・イン・バイエルン』は、ミュンヘン・クオンタム・バレーに建設される」と述べた。

ヨーロッパでも独自のネットワーク:
「ミュンヘン・クオンタム・バレー」イニシアチブの中心的な目標は、今後5年間で、量子コンピューティングと量子技術のセンター(ZQQ)を設立することである。現在最も有望な3つの量子コンピューティング技術は、超伝導量子ビットに基づくコンピュータと、イオンと原子に基づく量子ビットを持つコンピュータである。さらに研究能力を結集させ、科学的知見の市場製品への迅速な実装を加速するためには、量子テクノロジー・パークをつくる予定である。

コンセプトを確認する最初の成功例:
これまでに40以上の大学機関、研究機関、企業が、ミュンヘン・クオンタム・バレーに参加している。約200人の研究者が8つの研究コンソーシアムで働き、量子コンピュータの開発と運用に必要なすべてのスキルをカバーしている。将来的には、バイエルン州の他の地域の専門的な知見も、これらのプロジェクトを通じて統合され、科学的基盤が拡大される。

ミュンヘン・クオンタム・バレーにおけるFhGの役割:
量子テクノロジー・パークと量子コンピューティング・テクノロジー・センターなど、必要な研究インフラの構築・拡大および専門家の採用と選別を経て、新たに設立された協会は、国際競争における持続可能な成功のための重要な基盤づくりに取り組んでいる。FhGは、バイエルン量子セキュリティー・データサイエンス・コンピテンスセンターや、IBMと共同で運営しているエーニンゲンの量子コンピュータへのアクセスの提供などを通じて、専門知識を提供している。

さらにFhGは、「マイクロエレクトロニクス・ドイツ研究機構(Forschungsfabrik Mikroelektronik Deutschland:FMD)」のノウハウを活用して、超伝導量子回路や特定用途向け集積回路(ASICs)などの、システム・クリティカルなコンポーネントの、エンジニアリング、製造、システム統合を担当している。

[DW編集局]