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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 国立研究機構(ANR)
- 元記事公開日:
- 2022/02/23
- 抄訳記事公開日:
- 2022/05/06
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海洋生物多様性に役立つ人工知能:前例のない国際的な科学的挑戦の始まり
- 本文:
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2022年2月23日付、国立研究機構(ANR)の標記発表の概要は以下のとおり。
フランス国立研究機構(ANR)とフランス開発庁(AFD)は、海洋生物の多様性の研究を人工知能(AI)によって進めるプロジェクトに、共同出資することを決めた。プロジェクトはすでに2022年2月23日から4年間の予定でスタートし、選抜された三つのチームが取り組み始めている。海洋科学の研究においては、生物多様性の変化をより効率的に予測し評価する指標を開発することが求められている。こうした課題にAI手法を使うプロジェクトを支援することで、より信頼できる指標を開発し、特に地中海や太平洋の生物多様性の研究を進めたい考えだ。
■AIと生物多様性:地球の保全目的での開発による相乗効果
地球上の「最後のフロンティア」と見なされることの多い海洋は、地球の約71%を覆い、生物多様性の本質的な部分が集中している。したがって、海洋の生物多様性とその進化の研究では、気候変動によってもたらされる課題に対応し、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する上での主要な科学的・社会的課題が占めている。
生物多様性や生態系に関する政府間科学・政策プラットフォーム(Ipbes)と、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、従来型のデータの組織化が生物多様性を理解する上での大きな妨げになっていると考えている。生態系間の相互作用が複雑であるうえにデータの取り方も均一ではないことから、現在の指標は、生物多様性の変化を予測するのに限界があるとされる。
AIには、この課題に対処する大きな可能性がある。AIは、データを収集、構造化、強化するための新しいソリューションを提供することで、生物多様性の現状を写し取り、その変化を予測するための画期的リソースを提供できる。海洋環境に適用されるこれらのイノベーションは、海洋および沿岸の生態系の保全と持続可能な活用を促す第14次SDGをさらに進めていくことが期待される。
[DW編集局+JSTパリ事務所]