[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国防科学技術研究所(Dstl)
元記事公開日:
2022/03/31
抄訳記事公開日:
2022/06/03

センシング:国防科学技術能力

Sensing: defence science and technology capability

本文:

(2022年3月31日付、国防科学技術研究所(Dstl)の標記発表の概要は以下のとおり)

センサーは、我々が運用している環境の全体像構築に役立つデータを提供することで、軍事能力とセキュリティ運用の両方に不可欠である。これらは宇宙から水中まであらゆる場所で使用されており、英国の情報優位性の確保に役立つ。

センサー技術は、インテリジェンス、監視、偵察の支援から、プラットフォームの存続可能性の強化や高度な兵器システム内でのターゲティングまで、Dstl の業務のすべての領域を支えている。

Dstl の任務は、信号処理における大学防衛研究協力の仕事など、基盤となる斬新な研究の実施から、運用支援の提供にまで及ぶ。また、パートナーと協力して、将来の戦闘機(Team Tempest)などの最新技術を開発する注目度の高いプロジェクトに取り組んでいる。

我々の課題には、脅威の高い環境で動作できるようにすることや、ますます密集する電磁スペクトル、自律機能や量子技術などの最新の進歩を確実に最大限活用することが含まれる。

■センシングにおいて世界をリードするイノベーション

Dstlと学術界および産業界の戦略的パートナーは、軍事およびセキュリティの専門家と協力して、新しいセンシング技術の最先端にいる。

Dstl の開発は、(処理を用いて何十もの潜在的な対象地点を追跡する)強化赤外線カメラから、新たに遭遇したレーダーシステムによってもたらされる脅威に対する機械学習を用いた把握と対処方通知、さらには(戦場に散在させることができる)迅速に展開可能な分散型の使い捨てレーダー・システムにまで及ぶ。

たとえば、Cubica Technology 社と協力して、市販の既製のイメージャーをベースとして、非常に小型の無人航空機システム(UAS)を検出できる電気光学カメラ HEIMDALL を開発した。

複雑な都市環境で脅威を検出することは特に難しい場合があるため、Contested Urban Environment 2021(CUE2021)演習などのライブ環境で、使い捨てレーダーシステムやHEIMDALL などのシステムを試用する。

また、濃い煙の中や数キロメートルの距離を画像化できる単一光子計数センサーも開発した。Dstl は、ヘリオット・ワット大学と共同で、単一光子計数光検出・測距(LiDAR)を使用して試験を実施し、空中、陸上、海上での長距離ターゲット識別用のビデオレート3D画像を取得した。

同様に、スウェーデン国防研究所(FOI)と協力して、吹雪や雲を長距離にわたって見通すために松明のように能動的に作動する電気光学センサーの性能を向上させる革新的な技術を検証している。

次世代センシング機能を開発することで、Dstl の仕事の多くは、高い技術的リスクを伴う。技術協力プログラム(TTCP)の下で国際的なパートナーと協力して、認知レーダーシステムのアイデアを研究している。機械学習を使用して、それ自身で「考え」、環境の変化や敵の行動に応じてレーダーモードを適応させる。また、アイザック・ニュートン研究所の著名な数学者と協力して、壁を通過するレーダー・イメージングや、特定のセンサータイプに最適な収集戦略など、センシングの基本的な限界を押し広げている。

■オープン・ワーキングとコラボレーションによるセンサー・フュージョン

Dstl は、センサー・フュージョンを可能にする多国籍コラボレーション・イニシアチブで主導的な役割を果たしている。タスクを統括し、複数のセンサーからのデータを統合する機能は、軍隊が周囲の状況をより正確、迅速、効率的に理解するのに役立つ(状況認識の向上)。複雑で紛争中の環境下で対象物を検出・追跡することは重要であり、味方とセンシング情報を共有する能力を向上させる。

■量子センシング技術

Dstl は、産業界および学術界パートナーと協力して、従来のセンサーよりも費用対効果、形態容易性で、高感度、効率性の期待される新しい量子センシング技術を開発している。かつては部屋いっぱいの機器が必要だったセンシング技術が、今では靴箱に収まる。たとえば、小型のUASに設置できるほど小型で軽量の重力センサーを開発している。

[DW編集局]