[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
大統領府
元記事公開日:
2022/04/19
抄訳記事公開日:
2022/06/07

大統領府が商業核融合エネルギーの10年ビジョンの策定に向けて、サミットを開催

Readout of the White House Summit on Developing a Bold Decadal Vision for Commercial Fusion Energy

本文:

(2022年4月19日付、大統領府による標記発表の概要は、以下のとおり)

バイデン政権は、核融合エネルギー(太陽や星の内部で起きているのと同じ反応を利用するクリーンエネルギー技術)を加速する戦略を策定している。2022年3月17日、大統領府科学技術政策局(OSTP)とエネルギー省(DOE)は、「商業核融合エネルギーのための果敢な十年ビジョンの策定」に関する初のホワイトハウス・サミットを共催した。このサミットには、政府、産業界、学界などから核融合エネルギーのリーダー1,200人以上が参加し、これまでの進展を紹介し、最新の核融合エネルギー戦略について包括的な対話を行った。

バイデン政権は、次の3つの新しいイニシアチブを発表した。

▽ 核融合コミュニティーとしての取り組み:バイデン政権は、すべてのステークホルダーに利益をもたらす商業核融合エネルギーの実現を加速するための10年戦略の策定を主導する。今後のワークショップで成功への明確な道筋をさらに明確にしていく。

▽ DOE挙げての核融合イニシアチブ:DOEは、民間部門と連携して商業核融合エネルギーの実現を加速する全省的なイニシアチブを立ち上げた。エネルギー高等研究計画局(ARPA-E)の核融合プログラムの責任者であるスコット・シュー博士が、新しいDOE主導の核融合エネルギーコーディネーターとなることが発表され、科学・イノベーション担当次官のオフィスに加わる。

▽ 核融合パイロットプラントの科学を推進するためのファンディング:DOEは、プラズマのモデリング・相互作用・制御など、将来の核融合パイロットプラントのための優先度の高い課題に関連する基礎科学技術研究を支援するため、総額5,000万ドルの2件のファンディング発表した。

このサミットでは、はじめにOSTP局長代行アロンドラ・ネルソン氏が、単に技術の取得にとどまらず、包括的なアプローチ、すなわち様々な人々による利益の享受の必要性を指摘し、またDOEジェニファー・グランホルム長官は、クリーンエネルギーとしての核融合への期待を表明した。

次いで、核融合の科学、技術、教育などの専門家が、「核融合の次のステップ」、「多様性、公平性、包括性および利用可能性」、そして「民間部門の取り組み」の3つのパネルで講演した。主な発言は、以下のとおり。

▽ プリンストン・プラズマ物理研究所のスティーブ・コーリー所長は、燃料を約1億度に保つ核融合燃焼の実現などブレークスルーのリストを説明した。

▽ 過去の過ちを繰り返さないため、非営利団体ポストロード財団セス・ホードル代表は、核融合産業の実現には、国民の受容、エネルギー正義、国民参加、公正な移行などエネルギーの倫理的側面への配慮を強調した。

▽ 投資家のカーリー・アンダーソン氏は、競争力を重視し、また産業界の代表たちは、小型化等建設方式、熱源や医用アイソトープへの利用など市場の拡大等によって購入しやすくする設計アプローチを示した。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]