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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 欧州委員会(EC)
- 元記事公開日:
- 2022/07/05
- 抄訳記事公開日:
- 2022/08/05
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欧州委員会が新たなイノベーションの波を先導するための「新欧州イノベーションアジェンダ」を発表
Commission presents new European Innovation Agenda to spearhead the new innovation wave
- 本文:
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(2022年7月5日付、欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり)
欧州委員会はこのほど、欧州をディープテックイノベーションとスタートアップの新たな波の最前線に位置付けるために、「新欧州イノベーションアジェンダ」を採択した。欧州が最も差し迫った社会的課題に対処するための新技術を開発し、それらを市場に出すのに役立つものである。新欧州イノベーションアジェンダには、欧州をグローバルなイノベーションシーンのリーダーとして位置付ける狙いがある。
イノベーション、特に画期的な研究開発と多額の設備投資を必要とするディープテックイノベーションの新しい波をリードすることにより、欧州はグリーン移行およびデジタル移行を達成する上での中心的な役割を強化する。ディープテックイノベーションは、欧州の技術的リーダーシップを強化し、気候変動やサイバー脅威などの差し迫った社会的課題に対する革新的なソリューションを生み出す。このようなイノベーションは、再生可能エネルギーから農業技術、建設からモビリティ、健康に至るまで、すべてのセクターを潤し、利益をもたらす可能性が高い。これにより、食料安全保障に取り組み、エネルギー依存を減らし、人々の健康を改善し、欧州経済の競争力を高める。ロシアの侵略戦争の深刻な結果は、これらの問題の緊急性をさらに高め、EUの繁栄と安全を確保するために戦略的な政策の変更を促している。
欧州人の起業家精神、科学的卓越性、単一市場の強さ、民主主義社会に基づいて、新イノベーションアジェンダは特に次のようなことを行う。
▽未開拓の民間資本を動員し、上場規則を簡素化することにより、欧州のスタートアップやスケールアップ(急速な規模拡大をしている企業)が必要な資金にアクセスしやすくする。
▽枠組み条件を改善して、イノベーターが規制サンドボックスを通じて新しいアイデアを試すことができるようにする。
▽遅れている地域を含め、欧州全域でイノベーションプレーヤーを強化し、より適切な結集を図る「地域イノベーションバレー」の創設を支援する。
▽たとえば、100万人のディープテック人材を育成し、女性イノベーターへの支援を強化し、スタートアップ従業員へのストックオプションによりイノベーションを図ることで、欧州に人材を引き寄せ、保持する。
▽より明確な用語、指標、データセット、および加盟国への政策支援を通じて、政策の枠組みを改善する。新規イノベーションアジェンダは、次の5つの最重要事項(フラグシップ)の下で25件の特化した施策を設定している。
▽スケールアップへのファンディング。欧州の機関投資家やその他の民間投資家を動員して投資することで、欧州のディープテックスタートアップの規模拡大から利益を得ることになる。
▽実験空間と公共調達を通じたイノベーションの実現。規制への実験的アプローチ(規制サンドボックス、テストベッド、リビングラボ、イノベーション調達など)を含む枠組み条件の改善を通じて、イノベーションを促進する。
▽EU全域の欧州イノベーションエコシステムにおけるイノベーションの加速と強化。地域イノベーションバレーの創設を支援し、加盟各国や各地域が、(EUの主要優先課題に必要なディープテックイノベーションなど)具体的な地域間イノベーションプロジェクトに少なくとも100億ユーロを投資するよう支援する。また、加盟国が結束政策と Horizon Europeを統合的に活用することにより、すべての地域でイノベーションを促進できるよう支援する。
▽ディープテック人材の育成、誘致、保持。一連のイニシアチブを通じて、EU内外の不可欠なディープテック人材の育成と流れを確保するものであり、これらのイニシアチブには、スタートアップやスケールアップ向けのイノベーションインターン制度、スタートアップや革新的な企業によるEU外の人材発掘を援助するEU人材プール、女性による起業・リーダーシップ制度、スタートアップ従業員のストックオプションに関する先駆的な取り組みなどが含まれる。
▽政策立案ツールの改善。堅牢で比較可能なデータの集合および共通の定義(スタートアップ、スケールアップ)の展開・活用の鍵となるものである。これらは、EU全体のすべてのレベルの政策に情報を提供し、欧州イノベーション会議フォーラムを通じて欧州レベルでのより適切な政策調整を確保するものである。 [DW編集局]