[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
エネルギー省(DOE)
元記事公開日:
2022/09/08
抄訳記事公開日:
2022/11/17

DOE、地熱発電のコスト削減を目指す、新たなエネルギー・アースショットを発表

DOE Launches New Energy Earthshot to Slash the Cost of Geothermal Power

本文:

(2022年9月8日付、エネルギー省(DOE)による標記発表の概要は以下のとおり)

本日、DOEのグランホルム長官は、2035年までに強化型地熱発電システム(EGS)のコストを90%削減し、メガワット時当たり45ドルにすることにより、EGSを再生可能エネルギーの選択肢として普及させるというDOEの新しい目標「強化型地熱ショット(Enhanced Geothermal Shot)」を発表した。

米国には、全世界の電力需要を満たすのに十分な5テラワット以上の熱資源が存在し、そのごく一部でも利用すれば、4,000万戸以上の家庭に安価な電力を供給することができる。また、EGSは地熱暖房や地熱冷房を広く普及させ、建物や地域全体の脱炭素化をさらに進めることができる。強化型地熱発電の実現は、バイデン大統領が掲げる、2035年までに電力供給を脱炭素化し、2050年までに米国経済全体の排出量をネットゼロにするという目標の達成に大きく貢献する。

DOE は、強化型地熱ショットの目標達成に資する研究開発に投資している。最近の投資には、DOEの「地熱エネルギー研究フロンティア観測所(Frontier Observatory for Research in Geothermal Energy: FORGE)のフィールドラボにおけるEGSイノベーション促進のための4,400万ドルや、石油・ガスのベストプラクティスの移管によるEGSと従来型地熱発電の双方を推進するための最大1億6,500万ドルなどが含まれる。バイデン大統領の超党派インフラ法も、8,400万ドルの資金で、さまざまな地域や地質におけるEGSに関する貴重な情報を提供する4つのパイロットEGS実証プロジェクトを支援している。

強化型地熱ショットは、DOEの「エネルギー・アースショット・イニシアチブ」の第4弾である。これまで発表されたショットは、水素、カーボンニュートラル、長期エネルギー貯蔵に焦点を当てていた。

地熱エネルギーは現在、米国で約3.7ギガワットの電力を生成しているが、現在の技術では地熱エネルギーのかなりの部分にアクセスすることができない。EGSは、地熱エネルギーを地表に引き出すために流体流を用いることなく、地下深くの高温の岩石に流体を注入して、人工の地下貯留層を形成するという、シンプルな手法である。

EGSの資源は、少なくとも4,000フィートの地下深くに位置している。そこは、高温、高温で摩耗性の岩石、腐食しやすい環境という過酷な条件であり、多くの未知の要素が残っている。強化型地熱ショットは、地下に対する理解を深め、より多くの井戸をより早く掘削するための技術を向上させ、より大きな井戸と発電所でより多くのエネルギーを収集するための研究、開発、実証を積極的に推進して、これらの課題に対処しようとしている。

強化型地熱発電は、DOEのEGS研究の現在の主力であるユタ州のFORGEを含む、DOEのEGS研究開発および実証作業を基礎として行われる。

DOE は、州や地域社会、産業界、およびその他の利害関係者を巻き込むため、強化型地熱ショット・サミットを開催する予定である。またDOEは、国立科学財団(NSF)など他の連邦機関と提携し、最先端の研究を進め、クリーンエネルギーへの移行を支援するために必要な労働力を育成していく。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]