政府は10月30日、「医療イノベーション庁」（AIS）を発足させた。関係省庁や資金運用機関などと連携し、2021年秋に発表された政府の５か年投融資計画「フランス2030」の医療分野の実行を目指す。

　AISの目標は、具体的には「医療の未来を予測しニーズを具体化する」「予防やケアのシステムにもたらす影響を突き止める」ことである。具体的には、❶「フランス2030」の医療分野版（「医療イノベーション計画」）をフォローアップすること、❷医療分野の将来予測を実現すること、❸戦略的な優先順位付けで選ばれた特定少数のプロジェクトの方向付けとフォローの体制を整えること、❹公的な研究機関同士、さらには官民の研究者同士が一度に長期間にわたって協業することを求め、異なる優先研究を管理していくこと――である。

　AIS長官には、高度医療機関評価・イノベーション担当官だったリズ・アルテ博士が指名された。AISは首相府投資総務庁の管轄下で、多岐にわたる検証作業や権限を統括していくことになる。

　高等教育・研究省のシルヴィー・ルタイヨ大臣は「基礎研究に根ざした『フランス2030』の実行中の施策により、治療、検診いずれについても、イノベーションとしてその成果を享受することができる。この計画は壮大だが、これによってフランスの医療と自立にきわめて大きな影響をもたらすはずだ」とコメントしている。

[DW編集局]