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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 欧州委員会(EC)
- 元記事公開日:
- 2022/11/10
- 抄訳記事公開日:
- 2023/01/18
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車両からの汚染物質排出削減、大気質の向上を図る新ユーロ7規制の提案
- 本文:
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(2022年11月10日付、欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり)
本日、欧州委員会は、消費者にとって手頃な自動車価格を維持し、欧州の競争力を促進しながらも、欧州グリーンディールのゼロ汚染目標を達成するため、EU域内で販売される新車による大気汚染の削減に関する提案を行った。
道路輸送は、都市の大気汚染の最大の原因である。新たなユーロ7規制は、道路を走る車両をよりクリーンにし、空気の質を改善することで、市民の健康と環境を守る。ユーロ7規制と自動車のCO2排出規制は、市民に対する良質な空気の提供のために密接に連携しており、特に電気自動車の普及が進むことで、大気質の改善に一定の効果がある。この2つの規制は、自動車のサプライチェーンに対して、デジタル技術の使用を含め、汚染物質排出削減のための明確な方向性を与えている。
新ユーロ7排出規制は、乗用車・バン・トラック・バスが、大気汚染の問題が最も深刻な都市における実際の運転状況を適格に反映した条件で、現行規制よりもはるかに長い期間、よりクリーンであることを保証する。この提案は、排気管からの排出だけでなく、ブレーキやタイヤからの排出にも対処するものである。また、2022年10月26日に欧州委員会が提案した、より厳しい新たな大気質基準の達成にも貢献する。
CO2排出規制によってゼロエミッション車の導入が促進されるが、路上を走るすべての車両がよりクリーンであることが重要である。2035年には、EUで販売されるすべての自動車とバンがCO2排出量ゼロになる。しかし、2050年時点でも、自動車とバンの20%以上、大型車の半分以上が排気管から汚染物質を排出し続けると予想される。バッテリー式電気自動車も、ブレーキからの粉塵やタイヤからのマイクロプラスチック汚染を引き起こし続ける。
ユーロ7規制は、これらすべての排出量を削減しつつ、消費者にとって手頃な自動車価格を維持するものである。
この新規制は、乗用車とバンおよび大型トラックとバスに対して別々に定めていた2つの規制(ユーロ6とユーロVI)にとって代わり、単一の規制となる。ユーロ7による基準は、すべての自動車、つまり乗用車、バン、バス、トラックの排出制限を一つの規則の下に置いている。また新規制は、燃料と技術に中立であり、車両がガソリン、ディーゼル、電気、代替燃料のいずれを使用するかを問わず、同じ制限を設けている。
新規制は以下のことに役立つ:
▽新車の大気汚染物質排出のより適切な管理
路上排ガス試験の走行条件の範囲拡大により、45℃までの気温や毎日の通勤によく見られる短距離走行など、欧州全域で自動車が実際に使用されるさまざまな状況をよりよく反映することになる。
▽汚染物質排出規制の更新と強化
トラックとバスの規制が強化される一方、乗用車とバンに対しては、使用する燃料に関係なく、現行の最低規制値が適用される。また、新規制では、大型車両からの亜酸化窒素の排出など、これまで規制されていなかった汚染物質についても制限が設けられる。
▽ブレーキとタイヤからの排出規制
ユーロ7規制は、排気管からの排出だけでなく、ブレーキからの粒子状物質とタイヤからのマイクロプラスチックの排出も規制する、世界初の規制となる。これらは、電気自動車を含むすべての車両に適用される。
▽より長期にわたる新車の排出管理
すべての車両は、従来よりも長期間、規制に従う必要がある。自動車とバンは、走行距離20万km、車齢10年になるまで適合性がチェックされる。これはユーロ6/VI規制の2倍に相当する。バスと貨物車についても同様の引き上げが行われる。
▽電気自動車の普及支援
新規制は、電気自動車に対する消費者の信頼を高めるため、自動車とバンに搭載されるバッテリーの耐用年数に関する規制を設ける。これにより、自動車の寿命の早い段階で電池を交換する必要性がなくなり、電池に必要な重要原材料の必要量も減る。
▽デジタルの可能性のフル活用
ユーロ7規制により、車両の改変が防止され、車両内部のセンサーによる正確な排ガス測定が可能となり、当局が、車両の使用期間を通じて容易に排ガスを管理することができるようになる。 [DW編集局]