[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)
元記事公開日:
2022/11/30
抄訳記事公開日:
2023/01/24

ニューロテクノロジーの規制に関するレポート

Regulatory Horizons Council: the regulation of neurotechnology

本文:

(2022年11月30日付、ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)の標記発表の概要は以下のとおり)

Regulatory Horizons Council(RHC)は独立した専門家委員会であり、技術イノベーションの影響を特定し、その迅速かつ安全な導入の支援に必要な規制改革に関する公平な専門的助言を政府に提供する。標記の報告書は、次の事項を確立するための提言を行っている。

・医療用ニューロテクノロジーの安全な実用化を促進し、非医療用ニューロテクノロジーの規制不足の懸念に対処する、均衡のとれた規制の枠組み
・ニューロテクノロジーが将来もたらす可能性のある倫理的課題に対処するためのガバナンスの枠組み

標記報告書のエグゼクティブサマリーから、14項目にわたる提言の概要を以下に示す。

◆医療用および非医療用のニューロテクノロジーに対応する均衡のとれた規制枠組みの確立

1.医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は、規制当局とイノベーター間の対話と早期関与の強力な文化を構築すべきである。
2.MHRAは、既存の医療機器規制にニューロテクノロジー関連の課題を盛り込んで指針を改訂し、既存の規制枠組みがこれらの機器にどのように適用されるべきかをより詳細に説明すべきである。
3.MHRAは、ニューロテクノロジーの今後の規制適応について助言するべく、ニューロテクノロジー専門家のサブグループを設立すべきである。
4.保健社会福祉省 (DHSC) は、1) MHRAへの資金提供を増やしてニューロテクノロジー機器規制の能力を十分に拡大し、2) 承認された実施機関(Approved Bodies, Abs)がニューロテクノロジー機器の承認要求に対処する能力を高める為の追加要件を検討すべきである。
5.MHRA は、臨床データの生成と提示を容易にし、イノベーションを妨げないように臨床試験の不必要な繰り返しを避けるための追加案を検討すべきである。
6.MHRA、ABs、NHS は協力して、英国でニューロテクノロジー機器のサンドボックス・プログラムを確立する必要がある。
7.侵襲的・非侵襲的に関わらず、すべての脳調節デバイスは、MHRA によって提案されているように、市場目的に関係なく、医療機器の枠組みの下で規制されるべきである。この提言は、脳だけでなく、すべての神経組織を調節するデバイスにも拡張する必要がある。
8.非医療目的で神経情報の記録のみを行う非侵襲的デバイス (すなわち、神経記録ウェアラブル) は、MHRA によって規制されるべきではないが、一般的な消費者保護、セキュリティ、製品安全性、プライバシーのほか、その用途に応じて分野ごとの規制に準拠する必要がある。

◆ニューロテクノロジーの責任ある開発と実用化を促進する、先見的でアジャイルなガバナンス枠組みの構築

9.情報コミッショナー事務局 (ICO) は、データ保護枠組みがニューロデータにどのように適用されるかを明確にする必要がある。
10.データ保護枠組みの改革において、文化・メディア・スポーツ省 (DCMS) は、(1)ニューロデータの処理が一般データ保護規則(GDPR)の第 9 条に基づいて規制ように、ニューロデータの新たな特別カテゴリーの作成を検討し、(2) 既存の保護が、さまざまな種類のニューロデータによってもたらされるリスクに相応したものであるかどうか調査する必要がある。
11.DHSC は、ニューロテクノロジーが個人の特性に関係なく、幅広い患者ベース層に利用できるようにする政策の採用を検討すべきである。
12.製造業者が市販後の監視・警戒システムを実施する要件を明確化および強化するために、MHRAは、医療機器規則改正の一環として、製造業者がABsに提出する書類に、患者に長期装着されるインプラントの管理方法記載を義務付けることを検討すべきである。
13.現在のリーダーシップ欠如に対処し、不均衡または断片化された規制のリスクを回避して、政府全体のニューロテクノロジーの規制に関する考え方を前進・整合化して、政府の変革能力を発揮できるように、HMGは上級管理者の責任を明確化すべきである。
14.ニューロテクノロジーの今後の開発に関する英国の価値観を反映した国際的ガバナンスの枠組みを構築する為に、HMGは、ニューロテクノロジーに関して国際的に先導的役割を果たし、他国とプロアクティブに協力すべきである。

[DW編集局]