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- 国・地域名:
- 英国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 首相官邸
- 元記事公開日:
- 2023/01/04
- 抄訳記事公開日:
- 2023/02/03
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首相が「18歳までに数学教育」の目標を設定
- 本文:
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(2023年1月4日付、首相官邸の標記発表の概要は以下のとおり)
2023年年頭演説で、首相は、今後1年間の優先課題と、英国のより良い未来への目標を示す。首相は、計算能力の低さなどの問題に対して必要な措置に長期的に取り組むことを公約する。その一環として、イングランドのすべての生徒が、18歳まで何らかの形の数学を勉強できるようにするという新たな目標を設定する。
首相は、この問題の現実的な解決の難しさを認識しており、この規模の改革が容易ではないことは認める。しかし今国会で、「18歳まで数学修得(Maths to 18)」を導入する作業を開始し、次の国会でそれを完了させることを公約する予定である。
イングランドでは、約800万人の成人が小学生レベルの数学的能力しか持っていない。現在、16歳から19歳の若者の約半数しか数学を勉強しておらず、この問題は学習困難を持つ生徒達にとって特に深刻であり、その60%が16歳で基本的な数学の能力を身に着けていない。
こうした低水準であるにもかかわらず、英国は、18歳までの子供に何らかの形の数学の学習を義務付けていない世界でも稀な国の1つである。オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、フィンランド、日本、ノルウェー、米国などを含め、OECD加盟国の大半の国々において、義務となっている。
首相は、イングランドのすべての生徒を対象に、「18歳まで数学修得」を導入することにより、こうした傾向を逆転させることを公約する。「18歳までに数学教育」は、若者が現在および将来の仕事に必要な定量的および統計的スキルを提供する。これには、最良の住宅ローンや預金金利を見つけるなど、後の人生で金融に自信を持つための適切なスキルを身に着けることも含まれる。
2010 年以降、政府がフォニックス*の活用など識字率向上に重点を置いたことにより、水準が大幅に改善した。2012年には、6歳児のうち単語を流暢に読むことができたのは、わずか58%であったが、2019年には、82%に向上した。新たに数学的能力に重点を置くことで、これに匹敵する成果を上げることを目指す。(*フォニックス:英語の綴りと発音の間の法則を学ぶことで、正しい読み方を容易に学習する手法)
政府は、16歳の生徒全員にAレベルの数学を必修化することを想定してはいない。詳細は今後発表されるが、政府は、「コア数学(Core Maths)」資格やTレベルなどの既存の手段と、より革新的な手段とを検討している。政府は、秋季予算案で、学校に来年は20億ポンド、再来年には20億ポンドを追加投資し、学校への助成を過去最高水準に引き上げると発表している。
[DW編集局]