[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国立科学財団(NSF)
元記事公開日:
2023/01/10
抄訳記事公開日:
2023/02/21

NSFとSpaceX社が天文学に関する連携協定を締結

NSF statement on NSF and SpaceX Astronomy Coordination Agreement

本文:

(2023年1月10日付、国立科学財団(National Science Foundation:NSF)の標記発表の概要は以下のとおり)

SpaceX社は、高速インターネットサービスを提供するために低軌道上で衛星コンステレーションを打ち上げて運用しているが、その通信の周波数には電波天文学に割り当てられた周波数帯に隣接するものがあるSpaceX社はNSF及びその電波天文観測所と協力し、10.6~10.7GHzの電波天文バンドを中心に衛星通信による電波干渉の可能性を軽減することに取り組んでいるが、NSFとSpaceX社は地上天文観測をさらに干渉から保護する方法を模索し続けており、2022年に以下の事項を含む新たな調整協定を締結した。

・NSFとSpaceXは、光赤外地上観測天文学の施設への影響を緩和するために、実行可能な範囲で協力することに合意した。SpaceX社は、NSFの国立光赤外線天文学研究所(National Science Foundation’s National Optical-Infrared Astronomy Research Laboratory:NOIRLab)、米国天文学会のSATCONワークショップ[編集局注:「SATCON」は「衛星コンステレーション(Satellite Constellations)」の略語]、および国際天文連合の Dark and Quiet Skies*のベストプラクティスガイダンスから出される勧告に向けた作業を継続することを約束した。
・SpaceX社が第2世代衛星のために開発した干渉軽減策には、誘電体ミラーフィルム、太陽電池アレイの緩和策、明るさとギラツキを抑える新たな黒い塗料、飛行中のベストプラクティスなどが含まれる。
・SpaceX社は、天文施設のレーザーが同社の衛星に与える影響を分析することに合意した。
・SpaceX社は、影響を受ける米国の電波天文学の施設との行動的な調整を約束した。
・SpaceX社とNSFの国立電波天文台(National Radio Astronomy Observatory:NRAO)は、超大型干渉電波望遠鏡群(Very Large Array:VLA)とグリーンバンク望遠鏡(Green Bank Observatory:GBO)でのフィールドテストを完了し、電波天文学の観測に影響がないことの検証を今後予定している。
・SpaceX社は、SpaceX社が極域でデータ接続を提供する際に遠隔地の電波天文台への影響を最小限に抑えるため、NSFの極地プログラム局(Office of Polar Programs)と調整することを約束した。
・NSFのNOIRLab は光赤外線天文学について、NSFのNRAOは電波天文学について、SpaceX社との技術的な交流に関する主要窓口として機能する。
・SpaceXは干渉が生じたり、天文学界から新たな課題が提起されたりした場合、NSFと協力することを約束した。
・NSFとSpaceX社は、米国内のコミュニティに最大限のインターネットアクセスを提供しつつ天文学を保護するという目標を達成するための最善の方法について、初期の段階から協力を継続している。

[*編集局注:国際天文連合によるアウトリーチプロジェクト「暗くて静かな夜空(Dark and Quiet Skies)」を指しており、2022年2月に同連合はCentre for Protection of the Dark and Quiet Sky from Satellite Constellation Interference(衛星コンステレーションの干渉から暗くて静かな夜空を守るためのセンター)を発足させている。]

[DW編集局]