[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立科学研究センター(CNRS)
元記事公開日:
2023/02/24
抄訳記事公開日:
2023/04/06

CNRS、海と空を探る実験室を地中海の海底に設置

Un laboratoire installé au fond de la Méditerranée pour sonder la mer et le ciel

本文:

(2023年2月24日付、国立科学研究センター(CNRS)の標記発表の概要は以下のとおり)

国立科学研究センター(CNRS)の有線海底基地「地中海プロヴァンス海中実験室(Lavoratoire Sous-marine Provence Méditerranée:LSPM)」が2023年2月24日に開設された。エクス・マルセイユ大学(AMU)および 国立海洋開発研究所(IFREMER)と共同運営され、全く新しいユニークな研究プラットフォームとして注目される。

LSPMは、トゥーロンの沖合40キロメートル、水深2,450メートルで太陽光も届かない海底に設置され、深海や気候変動だけでなく、宇宙由来のニュートリノを研究するための多くの機器が設置されている。

中心となる機器は、キュービック・キロメートル・ニュートリノ望遠鏡(KM3NeT)という宇宙由来のニュートリノを検出する巨大な装置であり、17か国、250人の研究者の共同作業によって開発されたものである。深海の暗闇の中で、この検出器はニュートリノが水に残す青みがかった光の軌跡を精査する。この素粒子は、一つの原子核にも衝突することなく惑星を横断していくが、KM3NeTは、1日に数10個のニュートリノを検出して、まだ謎の多い量子の特性を解明する。

また、その他の機器を使用して、この深海環境の生物や化学も研究する。海洋の酸性化と深海の貧酸素化、水中の放射能、地震活動だけでなく、鯨類の個体数のモニタリングや生物発光能力を持つ動物の観察も含まれる。この海洋学コンポーネントは、欧州の研究インフラである「欧州学際海中観測所(EMSO)」のネットワークにつながっている。

LSPMは、チタン製の接続ノードとインテリジェントシステムで構成されており、42キロメートルの電気光学ケーブルによって、複数の科学機器に電力を供給し、リアルタイムでデータを回収できる。現在、3つの接続ノードが設置されているが、将来的に5つに増やすことができる。

ベルトンAMU学長、アンドラルIFREMER地中海センター副所長およびプティCNRS理事長の出席のもと、マルセイユで開所式を迎えたLSPMは、フランス艦隊の支援に加え、マルセイユ素粒子物理学センター (CNRS/AMU)、地中海海洋学研究所 (CNRS/AMU/IRD/トゥーロン大学)、CNRSの技術部門、コンピュータ科学・システム研究所(CNRS/AMU)、リヨン2無限体物理学研究所(CNRS/Université Claude Bernard Lyon 1)、Géoazur研究所(CNRS/Observatoire Côte d’Azur/IRD/Université Côte d’Azur) などの技術的支援を受けて設立され、また政府およびCNRSを始め県、地域の当局、欧州連合などから資金提供を受けている。

[DW編集局]