[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
科学・イノベーション・技術省(DSIT) 
元記事公開日:
2023/03/15
抄訳記事公開日:
2023/04/12

DSIT、国家量子技術戦略を発表

National quantum strategy

本文:

(2023年3月15日付、科学・イノベーション・技術省(DSIT)の標記発表の概要は以下のとおり)

■ 新たな10年ビジョン、プラン、コミットメント

我々のビジョンは、英国が2033年までに、量子技術が将来のデジタルインフラや先端的製造の基盤に不可欠な要素となり、成長を促進し、繁栄する強靭な経済・社会の構築に貢献する、世界をリードする分野を持った、量子技術対応型経済大国となることである。

これを達成するため、2024年から10年間で、英国における量子技術開発に25億ポンドを投資する。これは、現在の公共投資の2倍強であり、これにより、さらに10億ポンドの民間投資をこのプログラムに呼び込むことを目指す。

本プログラムでは、次のことを実行する:

・英国が世界をリードする量子科学・工学の拠点となり、英国の知識とスキルを向上させる。
・企業を支援し、英国を量子企業にとって最適な場所とし、グローバル・サプライチェーンの不可欠な部分とする他、投資家とグローバル人材にとって好ましい場所とする。
・英国における量子技術の導入と利用を促進し、経済と社会、そして国家安全保障に利益をもたらす。
・イノベーションと量子技術の倫理的利用を支援し、英国の能力と国家安全保障を保護する国内および国際的な規制の枠組みを構築する。

■ 2033年までに達成すべき目標

・研究発表論文数を増やし、量子科学発表論文の質でトップ3の地位を維持する。
・量子関連分野においてさらに1,000人の大学院研究生に資金支援を行う。
・(現行の米国に加え)5つの量子先進国と実質的な共同作業プログラムに基づく二国間協定を結ぶ。
・英国は、量子技術企業への世界的な株式投資の15%を占める。
・英国は、世界の量子技術市場の15%を把持。
・英国の主要な関連分野のすべての企業が、量子技術の可能性を認識し、関連する企業の75%が量子コンピューティングの到来に備える措置を講じている。
・英国は、量子に関する世界標準の確立におけるグローバルリーダーとなる。

■ 優先施策

本戦略では、上記目標の実現に向けて実施すべき主要施策を定めている。たとえば次のような施策を行う。

1. 2024年からの10年間で25億ポンドの政府資金を量子研究開発に投入する。その対象としては、以下のものが含まれる。
・英国を長期的にグローバルな中核的研究拠点とするための量子技術・科学分野における研究拠点ネットワークの構築
・量子技術の開発と実用化に向けた進歩のペースを速める加速プログラムの実施
・産官学間のコラボレーションを推進し、成長する英国の量子セクターの強化を図る、課題主導のイノベーション資金提供
・英国が必要とする量子研究者、イノベータ、実業家を輩出するための、大学院のスキル、技術専門家、実習生向けの教育・人材育成プログラム。
・海外パートナーとの共同研究開発プログラム。
・量子研究者と企業を支援するための基盤構造への投資。
・基礎研究への投資。
・企業、研究者、政府が使用する機器や量子コンピューティング設備の調達など、国立量子コンピューティング・センター(National Quantum Computing Centre)への投資拡大

2. 今年から量子技術への投資を拡大し、次のような新たな資金提供を行う。
・量子コンピューティングとPNT(測位・航法・タイミング)プログラム立ち上げに7,000万ポンド
・量子コンピューティング、通信、センシング、イメージング、タイミングの研究拠点の開発継続に1億ポンド
・量子フェローシップや博士課程教育への追加投資に2,500万ポンド ・公共利用のための量子技術政府調達促進に1,500万ポンド
・量子ネットワークにおける共同研究開発の連携促進活動に2,000万ポンド
・国立量子コンピューティング・センターを通じた活動強化に対して、2,000万ポンドの追加資金
・新設の国際科学パートナーシップ基金(International Science Partnerships Fund)による国際協力の強化

[DW編集局]