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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 欧州委員会(EC)
- 元記事公開日:
- 2023/03/16
- 抄訳記事公開日:
- 2023/04/17
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ネットゼロ産業法:EUをクリーン技術生産とグリーン雇用の本拠地に
Net-Zero Industry Act: Making the EU the home of clean technologies manufacturing and green jobs
- 本文:
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(2023年3月16日付、欧州委員会による標記発表の概要は以下のとおり)
欧州委員会は本日、EUにおけるクリーン技術による生産を拡大し、EUがクリーンエネルギーへの移行に十分に備えるため、「ネットゼロ産業法(Net-Zero Industry Act)」を提案した。本法は、EUにおけるネットゼロ技術生産の強靱性と競争力を強化し、エネルギーシステムをより安全で持続可能なものにする狙いがある。EU全体の戦略的ネットゼロ技術(Strategic Net Zero)の生産能力が、2030年までにEUの展開ニーズの少なくとも40%に近づく、または到達することを目標として、欧州でネットゼロプロジェクトを立ち上げ、投資を呼び込むためのより適切な環境を整備する。
ネットゼロ産業法は、EUの輸入への過度な依存度を下げるための明確な欧州の枠組みを定めている。それは、欧州のクリーンエネルギー・サプライチェーンの強靱性を高めるのに役立つ。
本法案は、脱炭素化に大きく貢献する技術に対応している。これら技術には、太陽光および太陽熱発電、陸上および洋上の風力発電、バッテリーと蓄電、ヒートポンプと地熱エネルギー、電解槽と燃料電池、バイオガス・バイオメタン、炭素の回収・利用・貯蔵、グリッド技術、持続可能な代替燃料技術、核燃料サイクルからの廃棄物を最小限に抑えて原子力プロセスからエネルギーを生産する先進技術、小型モジュール炉、などが含まれる。法案の付属文書で特定されている戦略的ネットゼロ技術は、特別な支援を受け、域内生産40%目標の対象となる。
ネットゼロ産業法は、以下のような柱で構成されている:
・環境整備
情報提供の強化、プロジェクト立ち上げ時の事務負担軽減、許認可プロセスの簡素化により、ネットゼロ技術への投資環境を改善する。さらに、回収されたCO2排出物を安全に貯留するサイトなど、EU産業の強靱性と競争力を強化するために不可欠と見なされる「ネットゼロ戦略プロジェクト(Net-Zero Strategic Projects)」を優先するよう提案している。・CO2回収の促進
EUの石油・ガス生産者からの生産量に応じた貢献によって、2030年までに、EUの戦略的CO2貯留サイトにおいて年間5,000万トンの注入容量を達成するというEUの目標を設定している。・市場へのアクセスの促進
ネットゼロ技術の供給多様化を促進するため、本法は、公的機関の公共調達や競売において、ネットゼロ技術の持続可能性と強靱性という基準を考慮するよう義務付けている。・技能の強化
本法は、EUにおけるネットゼロ技術の生産を支える技能労働者を確保するため、「ネットゼロ欧州プラットフォーム(Net-Zero Europe Platform)」による支援と監督の下で、「ネットゼロ産業アカデミー(Net-Zero Industry Academies)」を設立するなど、新たな措置を導入する。・イノベーションの活性化
本法により、加盟国は、柔軟な規制条件下で、革新的なネットゼロ技術をテストする、「規制サンドボックス(regulatory sandboxes)」を設置し、イノベーションを活性化できるようになる。・ネットゼロ欧州プラットフォーム
本プラットフォームは、欧州委員会と加盟国による、「ネットゼロ産業パートナーシップ(Net-Zero Industrial Partnerships)」など、施策の調整と情報交換を支援するものである。また、EU全体のプロジェクトの資金需要、ボトルネック、ベストプラクティスを特定することにより、投資を支援する。欧州委員会は同日、EU域内における再生可能水素の取り込みと国際パートナーからの輸入をさらに支援するため、「欧州水素銀行(European Hydrogen Bank)」という構想についても発表している。
[DW編集局]