[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
原子力・代替エネルギー庁(CEA)
元記事公開日:
2023/04/26
抄訳記事公開日:
2023/05/18

「組み込みAI」オープンソースプラットフォームを立ち上げ

Les partenaires du projet DeepGreen lancent la première plateforme open source pour l’IA embarquée

本文:

(2023年4月26日付、原子力・代替エネルギー庁(CEA)の標記発表の概要は以下のとおり)

ディープラーニング(深層学習)の研究を行うCEA主導のプロジェクト「ディープグリーン(DeepGreen)」共同体は4月26日、人工知能(AI)のアルゴリズムをそのまま機器に組み込む「組み込みAI」用のオープンソースプラットフォームを立ち上げた。2024年にはフランスの産業エコシステムにおいて戦略的成果を挙げることを目指すという。研究と産業のパートナー約20社によるDG共同体は、主権の確保、信頼性、経済性を統合した組み込みAIの開発に向けて連携していくこととしている。

世界のAI市場は年間約37%のペースで成長し、2030年には1兆8,000億ドルを超えると見込まれている。よりソースに近いところでデータ処理を行う組み込みAIは、高いコンピューティング性能、信頼性、経済性を備えていく必要がある。現在、データフローの80%がクラウド上で処理され、ローカルでの処理は20%に留まるが、5年以内に逆転する可能性がある。搭載型でソリューションの最適化を発展させるため、フランスと欧州で高性能ツールを導入することが不可欠である。

このような見通しから、上記パートナー、組み込みAIの産業ユーザーなどからなるグループは、CEAの組み込み型ディープラーニング手段(N2D2)を基盤として、このオープンプラットフォームを設けることとした。

政府の5か年投融資計画「フランス2030」によってサポートされるこのプラットフォームは、以下の戦略課題の解決を目標としている。
▽あらゆる場面でAIの組み込みをコントロールし、またフランスと欧州のハードウェア技術を活用することによる主権の確保
▽量子化などによるメモリ面積とエネルギー消費を削減する経済性
▽組み込みに必要な重要機能の評価と認定の方法による信頼性、
▽組み込みAIアプリケーションの開発に関わる最適ツールにフランスと欧州のすべての研究開発機関がアクセスして競争性を確保

このプラットフォームは、第一段階では、CEA、国立情報学・自動制御研究所(INRIA)、タレス(Thales)などの間の提携関係によってオープンソースの技術的な核心部分を育成・強化する。そして第二段階では、この核心部分を産業界のニーズに適応させ、フランスのエコシステムに統合させていくことを目指す。最初のバージョンは、2023年秋からオープンソースで利用可能になる。

2024年以降、航空、航空宇宙、防衛、エネルギー等の対象市場に対する適切なアプローチが実証される予定である。国立航空宇宙研究所(ONERA)、エアバス、ダッソーアビエーション、電力庁(EDF)等の協力により、自律システムの予防保全、生産工場内の画像認識、組み込み型の車両識別も進められる。

このプラットフォームは、新興ハードウェア技術に組み込みAIを展開するための欧州プロジェクトの支援も受けることになっている。

[DW編集局]