[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
首相府投資総務庁(SGPI)
元記事公開日:
2023/06/09
抄訳記事公開日:
2023/07/05

人材育成とイノベーションで未来の原子力を加速へ

France 2030 accélère le nucléaire de demain en misant sur la formation et l’innovation

本文:

(2023年6月9日付、首相府投資総務庁(SGPI)の標記発表の概要は以下のとおり)

政府は6月9日、5か年投融資計画「フランス2030」のうち、新しい原子炉概念の実現と現在の原子力技術を拡大する「革新的原子炉」プロジェクトの最初の2つの受賞案件と、「新たな原子力と新たなスキル(3NC)」プロジェクトを発表した。

2050年までにカーボンニュートラルを達成するためには、エネルギー消費の抑制、脱炭素エネルギーへの転換を加速する必要がある。再生可能エネルギーと原子力による電力の大量生産は、エネルギー転換の重要な要素であり、その安全性とセキュリティは、国民と環境の保護にとって不可欠で、その技術的確立は国家の独立を保証するものでもある。

原子力の復興は、安全、価格、主権という課題の解決を要し、さらに環境・エネルギー・デジタルの三つの転換に対応しなければならず、原子力技術の革新は不可欠である。フランスには現在、ウラン採掘から廃棄物管理まで原子力の産業部門を構成する2,600以上の企業がある。

「フランス2030」は、新たな原子炉概念を実現する提案をより多く招き入れるために、現在の技術の拡大に10億ユーロを投資することとしている。

■最初のプロジェクト公募「革新的原子炉」の受賞者

この関心表明公募(AAP)は、5億ユーロを投じて、小型かつ廃棄物が少ない革新的原子炉を導入し、原子力のスタートアップの新たなエコシステムを構築するものである。

新たな原子炉概念により革新的な研究開発を導入し、廃棄物量や放射能量の削減を図り放射性廃棄物管理や競争力の改善、安全性やセキュリティの向上が図られる。

フランス公共投資銀行による最初のAAPである「革新的原子炉」は、昨年3月2日に開始され、本年6月28日まで公開されていた。国は、原子力・代替エネルギー庁(CEA)に、原子力産業が有する専門知識を新規参入者に提供するという重要な役割を委ねた。

この「革新的原子炉」提案募集では「XAMR (eXtrasmall Advanced Modular Reactor)」プロジェクトと、「Newcleo – LFR-30鉛高速炉(30 MWe)」プロジェクトが受賞し、2,490 万ユーロの支援を受けた。

■原子力戦略の中心となる人材育成

若者と従業員に対する訓練は、あらゆるレベルの資格に持続可能かつ質の高い仕事を提供する最良の方法であり、人材の出現を支援し、将来の新たな分野や職業のスキル・ニーズに対応することができる。

この目標を達成する新たな人材育成には、「フランス2030」から25億ユーロが動員され、新たな初期訓練と生涯訓練の開発に投資されているが、原子力産業の復興には、今後10年間であらゆるレベルのスキルと資格を有する10万人以上の人材が必要となる。

■CMQe CEINE(ノルマンディ地方の職業訓練団体とカーン・ノルマンディ大学による協力組織)による「原子力のスキル開発のための3NCの主力プロジェクト

目標は、2030年までに職業バカロレアを含めバカロレア終了後5年の学習者計4万人以上を確保することなどである。

「フランス2030」から4,200万ユーロの支援と、ノルマンディ地方から最大700万ユーロの支援を受けて、この3NCプロジェクトは、株主、研修パートナー、高校、電力庁(EDF)などの地元企業が一体となって、国家主権を確保し低炭素を達成するフランスの中心にノルマンディ地方を据えるという大きな課題に取り組んでいる。

[DW編集局]