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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 欧州委員会(EC)
- 元記事公開日:
- 2023/07/13
- 抄訳記事公開日:
- 2023/08/18
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研究キャリアの向上と「欧州研究圏」の強化を図る新規イニシアチブ
New initiatives to empower research careers and to strengthen the European Research Area
- 本文:
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(2023年7月13日付、欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり)
欧州委員会は本日、欧州研究圏(ERA)を強化し、その強靱性、魅力、競争力を高めることを目的とした一連の包括的な施策を発表した。これらは、「2022~2024年ERA政策アジェンダ」の優先施策である、魅力的で持続可能な研究キャリアの促進に資するものである。
これらの取り組みは、安定した高収入の仕事の機会を支援することで、欧州全土の200万人の研究者に大きな利益をもたらす。特に、初期キャリアの研究者やその他の欧州の優秀な研究者は、キャリアの不安定さの問題に対処し、欧州に留まることができるようになる。同時に、欧州を国際的な人材にとって魅力的な目的地として位置づけ、世界における魅力をさらに強化する取り組みも行われる。一連の施策には以下のものが含まれる。
■ 研究キャリアのための欧州枠組み
研究キャリアの強化は、ERA政策アジェンダにおいて加盟国が最も重視する目標である。提案された理事会勧告は、研究キャリアに関する2021年5月の理事会結論文書に沿い、すべての関係者との協議に基づき、欧州における研究キャリアの課題にあらゆる分野で取り組むものである。
・研究者と研究職の定義、およびその価値の認識
・無期雇用契約を増やす措置など、採用・労働条件の改善
・分野横断的および学際的なキャリアや、起業・イノベーションのスキルを備えた研究者
・公正なキャリア開発と昇進
・バランスのとれた人材の循環のための措置
・研究キャリアの支援策の強化
・専門の観測所による研究キャリアの効果的なモニタリング■ 研究者のための新憲章
理事会勧告では、研究者、雇用主、助成機関、政策立案者に向けた新たな「研究者憲章(Charter for Researchers)」を提案している。これは、以前(2005年)の「欧州研究者憲章」および「研究者採用のための行動規範」を発展させたものである。
欧州研究者憲章は、研究者のほか研究者の雇用主、助成機関の役割、責任、権利を規定した一般原則と要求事項の組み合わせであった。研究者採用のための行動規範は、研究者を任用・雇用する際に雇用主や助成機関が従うべき一般原則と要件で構成されており、欧州研究者憲章で概説されているものを補完したものである。欧州全土の1,444機関が、以前の憲章と行動規範の原則を承認している。
新憲章はこれらを土台とし、原則を更新し、構成を整理したものである。研究者だけでなく、官民の研究者雇用主および助成機関も対象としている。これは、魅力的な研究キャリアを促進するEU政策の重要な手段となり、研究機関や研究助成機関による実施を加速し、すべてのキャリア段階における研究者の良好な労働条件を促進することになる。
■ 研究者のための欧州能力枠組み(ResearchComp)
ResearchCompは、初のEU研究者能力枠組みであり、「欧州技能年」に関連した重要な取り組みである。2020年に欧州委員会が採択した「新しいERAに関する政策文書」と「欧州スキルアジェンダ」に沿って、学界、企業、業界、行政、起業など、社会のあらゆる分野でのキャリアに必要な一連の横断的なスキルを、研究者が身に付けることを促進する。
ResearchCompは、研究キャリアのさらなる強化のために欧州委員会が開発した初の新規ツールである。 これには、研究者のためのオンライン・ワンストップ・ショップであり、多くのサービスへの入り口となる「ERA人材プラットフォーム(ERA Talent Platform)」、最新のデータとエビデンスでキャリアをモニタリングし、研究・イノベーションシステムの改善と、エビデンスに基づく政策策定に貢献する、「研究・イノベーション キャリア観測所(Research and Innovation Careers Observatory)」、研究・イノベーション労働市場のプレーヤーに、より魅力的な研究キャリアのために力を合わせるよう呼びかけ、組織改革を支援する投資戦略などが含まれる。
[DW編集局]