[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
首相府
元記事公開日:
2023/07/06
抄訳記事公開日:
2023/08/04

評価は「インパクトが基本」 フランス2030、担当室長インタビュー

Interview de Marc-Antoine Lacroix, directeur du pôle Évaluation et Impacts au sein du Secrétariat général pour l’investissement (SGPI) en charge de France 2030.

本文:

(2023年7月6日付、首相府投資総務庁(SGPI)が発表したインタビュー記事は以下のとおり)

首相府投資総務庁(SGPI)は、5か年投融資計画「フランス2030」の推進を担当している。計画のインパクト(影響)をどのように評価するのか、同庁評価・インパクト室長のマルク=アントワーヌ・ラクロワ氏が語った。

――SGPI評価室の任務とは?

「SGPIの評価・インパクト室では、5人のエコノミストがチームを組んで、プロジェクトの運営に関して事業部門を支援しつつ、「将来への投資監督委員会」(CSIA)が主導する評価を実行するという、二つの任務を担っている。

「フランス2030」では評価が強化されている。急進的イノベーションを目指しつつ、リスクとのバランスを考慮し、事業者に寄り添い、品質の高い情報を動員し、監視機関との直接的な関係を築いていく必要がある。

評価の任務は、各省庁所属の計40人の監督官や、フランス公共投資銀行など事業実務部門のネットワークも活用して遂行する。これらが一体となって事前、中間および事後の3つの重要な段階で評価を行う」

――インパクトの具体的な指標は?

「フランス2030は、イノベーションの「社会的」側面にも及ぶため、このインパクトの概念が基本的に重要であり、イノベーションがもたらす「より良い生産」、「より良い生活」を視点として、この「より良い」を定量化する。

イノベーションのインパクトが当初の想定を超えることは驚きであり、たとえば宇宙分野では、再利用可能なミニランチャーの製造が生み出した雇用は、それ自体がインパクトであるが、同時に天気予報の改善、収穫の適切な管理、エネルギーの節約にも役立ち、社会経済的に大きなインパクトである。もちろん衛星のリサイクル可能性、デブリ問題など、外部的影響をすべて考慮する必要がある。

インパクトは非常に多様であり、社会経済的発展から、人材、健康、科学、そして環境、包摂性や多様性にまでも及ぶ。

インパクトを理解するためには、現場に行くことが不可欠であり、少なくとも月に一度はプロジェクトリーダーと会うというルールを設定した」

――インパクトの測定方法は?

「プロジェクトの種類に大きく関係する。急進的イノベーションであって観察可能なデータがほとんどない場合、ベンチマーク比較などが特に適している。より漸進的なイノベーションでは、観察可能な母集団が大きければ、計量経済学を動員することができ、理想的には臨床試験のように治療群と対照群で制御されたランダム実験を実践することもできる。

また評価のタイミングにも依存し、立ち上げ時の評価では実施者の宣言にもとづくこととなる。プロジェクト実施段階では、リーダーの調査となる。完了時には統計データベースによりデータを相互参照し、計量経済学的手法を展開して事後インパクトを測定する。

CSIAの下でエコノミスト委員会がこれらの手法の質を監視しており、また評価の結果は常に公開されている」

――「フランス2030」のスタートから2年近くが経過するが、注目すべき主なインパクトは?

「本年6月30日、CSIAが首相に提出した最初の中間評価報告書には、2つの重要なメッセージがある。

第一に2030年には、フランス2030による国内総生産の増加は最大80億ユーロに達し、推定60万人以上の雇用が創出される。すでに支援されたプロジェクトでは、約1,900人から2,000件以上の特許出願が想定され、40,000人以上の雇用が創出され、2030年までに年間最大2万トンの二酸化炭素が削減されることとなる。

第二に人的資本と人材養成の強化に関わる変革を準備することの重要性である。今後、この問題を評価作業の中心に置くこととしている」

[DW編集局]