[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究省
元記事公開日:
2023/07/25
抄訳記事公開日:
2023/08/10

ル・アーブルに新拠点建設へ 国、地域圏などが協定 教育・研究の魅力向上図る

Le campus d’enseignement supérieur accélère son développement au Havre : signature du protocole d’accord par la Première ministre, le président de la région Normandie et le président de la communauté urbaine du Havre

本文:

 政府は7月25日、北部ノルマンディー地域圏、ル・アーブル・セーヌ都市圏広域事務組合とともに、ル・アーブル(Le Havre)の中心市街地に、高等教育や研究イノベーションの新しい拠点を作る協定を結んだと発表した。有力拠点に育てることで、地域圏やル・アーブル都市圏全体の魅力を高めることが目的。

 この協定は、ル・アーブル大学技術研究拠点(IUT du Havre)の教育プログラム展開、国立高等工芸学校の新校舎建設、地域圏立教育研究文献センター(CROUS)の一部改修を、同じ拠点で一体的に行うための事業。新拠点は、国鉄ル・アーブル駅から南に約300メートルのフリサール埠頭(Quai Frissard)に位置し、床面積2万0,350平方メートルの施設を建てる予定。近接する国立科学応用研究所(INSA)、国立高等海洋学校(ENSM)、物流高等研究所(ISEL)、ノルマンディー・ビジネススクール(EMN)、パリ政治学院ル・アープル校の機能も合わせると、当面は、基礎教育や訓練、研修、博士課程などで計約2,500人の学生を受け入れることになるという。

 資金は、2022年11月に国と地域圏の間で締結された共同事業契約から支出される。この契約は、地域振興の様々な事業に国が4億8,600万ユーロ、地域圏が4億0,700万ユーロをそれぞれ投資する予定となっているが、今回の協定では新たに、政府が2,040万ユーロ、同地域圏が2,650万ユーロ、同組合が2,600万ユーロを、それぞれ拠出することになった。

 協定締結にあたってはボルヌ首相がル・アーブルを訪問し、同地域圏のエルベ・モラン知事、同組合のエドゥワール・フィリップ組合長(ル・アーブル市長、前首相)とともに署名した。

 またボルヌ首相は同時に、同地域圏のル・アーブル、カーン(Caen)、ルーアン(Rouen)の3大学を、優れた教育・研究を支援する国の「ExcellenceS」(エクセランス)プログラムに採択したことも発表した。国の5か年投融資計画「フランス2030」の枠組みから計2,350万ユーロが支出される予定だが、こうした取り組みともあわせ、同地域圏の活性化に、高等教育・研究機関が中長期的に貢献していけるかどうかが注目される。

<DW編集局からおことわり>
 本文中の「広域事務組合」の原語は「La communauté urbaine」で、直訳すると「近郊共同体」となりますが、意味が抽象的であるために使用を避けました。そのうえで、この機関は、各自治体単独では難しい行政サービス(ごみ処理など)の提供などを目的とした複数自治体の共同出資により運営されていることから、おおむねわが国の「広域事務組合」に相当すると判断し、訳語として採用しました。(フランス担当フェロー・内田遼)

[DW編集局]