（2023年9月10日付、大統領府の標記発表の概要は以下のとおり）

バイデン大統領のベトナム・ハノイへの公式訪問において、バイデン大統領とベトナム・チョン（Nguyen Phu Trong）書記長は、2013年に締結された包括的パートナーシップ（Comprehensive Partnership）を包括的戦略パートナーシップ（Comprehensive Strategic Partnership）に格上げし、平和、繁栄、持続可能な発展という共通の目標の達成に向けて両国関係を強化することで一致した。本パートナーシップ下、米国は、より広範なで深い二国間協力、そして「繁栄のためのインド太平洋経済枠組み（Indo-Pacific Economic Framework for Prosperity：IPEF）」の支援を含む、より革新的な経済的関与という共有ビジョンを支援するため、ベトナムへの関与を拡大し、新たな取組みを推進する。このうち、特に研究開発および教育・人材育成に関する取組みは、以下のとおりである。

■イノベーション経済への投資と科学技術協力

両国が共同で開催した「米越イノベーション・投資サミット（U.S.-Vietnam Innovation and Investment Summit）」において、米国は以下のような新たなイニシアチブを発表した。

①米国の企業、消費者、労働者のための、強靭な半導体サプライチェーンを支援する新半導体パートナーシップ：新たに締結した協力覚書により、米国産業を支援し、ベトナムの半導体エコシステムの能力を拡大するための二国間パートナーシップを公式化する。「半導体・科学法」によって創設された「国際技術安全保障・イノベーション基金（International Technology Security and Innovation Fund）」の下、米国はベトナムと協力し、ベトナムの半導体エコシステム、規制枠組み、そして人材やインフラのニーズをさらに発展させる。
②米国における半導体製造能力を支援するための人材開発イニシアチブの立ち上げ：半導体組立、テスト、パッケージングのための実習ラボとトレーニングコースを米越共同で開発する、包括的人材育成イニシアチブをベトナムで開始する。
③「エレクトロニクスと先端技術開発パートナーシップ（Developing Electronics & Leading Technology Advancement　Partnerships：DELTA）」ネットワークの構築：両国は、安全で強靭な技術サプライチェーン構築のため、主要な地方政府や業界団体とともに、電子部品製造における人材育成、政策調整、部門効率化を行う。
④「研究のための米越科学技術協定（Vietnam-U.S. Science and Technology Agreement for Research：VUSTAR）」：両国は、人工知能、研究開発とガバナンス、健康・医療科学、気候科学、バイオテクノロジー、自然保護などの分野で二国間協力を強化する。

■関係強化のための教育・訓練

米国で学ぶベトナム人留学生は、米国の留学生の中で5番目に多く、その多くはコミュニティ・カレッジ、大学、高等教育機関で科学、技術、工学の分野を専攻している。二国間関係改善の一環として、また両国民のために教育協力を拡大するため、米国は以下の新たなプログラムを計画している。

①「ベトナムのSTEMチャンピオン・イニシアチブ（STEM Champions of Vietnam Initiative）」：幼稚園から大学院まで、ベトナムの教育部門の全領域を対象としたSTEMに焦点を当てたイニシアチブにより、両国の教育機関や政府機関を結びつけ、STEM分野における将来のリーダーを育成する能力を強化する。
②「ベトナムのスキルアップとデジタル化の促進（Upskill Vietnam and Foster Digital Growth）」：米国国際開発庁（USAID）は議会と連携して、（1）ベトナムの高等教育部門の近代化プロジェクト、（2） ベトナムのデジタル貿易促進（Vietnam Digital Trade）プロジェクト、（3）ベトナム計画投資省（MPI）の国家イノベーション・センターの支援プロジェクト、に対して1,275万ドルの初期投資を行う。

[DW編集局]