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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 欧州委員会(EC)
- 元記事公開日:
- 2023/10/09
- 抄訳記事公開日:
- 2023/11/14
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「Fit for 55」の主要法案が成立、EUは2030年の目標値を上回る軌道に
- 本文:
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(2023年10月9日付、欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり)
本日、EUの2030年気候目標達成に向けた「Fit for 55」法案の最後の2つの柱が採択された。
「改正再生可能エネルギー指令」と「ReFuelEU航空規制」が採択されたことにより、EUは経済のすべての主要部門をカバーする法的拘束力のある気候目標を設定した。法案全体には、広範な分野にわたる排出量削減目標、天然の炭素吸収源を増やす目標、排出量を制限し汚染に価格を付けてグリーン移行への投資を生み出すための最新の排出量取引制度、市民や中小企業への社会的支援が含まれている。欧州企業にとって平等な競争環境を確保するため、「炭素国境調整メカニズム(CBAM)」により、輸入品が対象部門において同等の炭素価格を支払うことを確実にする。EUはすでに、再生可能エネルギーとエネルギー効率に関する目標を更新しており、2035年までに環境を汚染する新車の販売を段階的に廃止するとともに、道路交通、海運、航空における充電基盤構造の拡充と代替燃料利用を推進している。
最終的な法律パッケージにより、EUの温室効果ガスの純排出量は、2030年までに57%削減されることが期待されている。
■ 炭素の削減、排出量に対する価格設定、人材への投資
新たに創設された「社会気候基金(Social Climate Fund)」は、EU予算からの650億ユーロ、総額で860億ユーロを超える資金により、最も弱い立場にある市民や中小企業のグリーン移行を支援する。
新たに導入される「炭素国境調整メカニズム」により、輸入製品も対象分野において国境で炭素価格を支払うことになる。これは、世界的な排出削減を促進し、EU市場を活用して世界的な気候変動目標を達成するための有用な手段である。EU排出量取引制度と組み合わせることで、企業が生産拠点を欧州から環境基準の緩い国々に移す「炭素リーケージ(carbon leakage)」のリスクを軽減することができる。
■ 再生可能エネルギーの促進とエネルギー節減
「改正再生可能エネルギー指令」では、EUの拘束力のある再生可能エネルギー2030年目標を、現在の32%から最低42.5%に引き上げることが合意された。また、2030年までに、EUの電源構成(energy mix)に占める再生可能エネルギーの割合を45%にすることでも合意した。
「エネルギー効率指令」に関しては、2030年までにエネルギー効率を11.7%改善するという新たなEUレベルの目標に合意した。加盟国は今後、エネルギー貧困の影響を受ける人々に対するエネルギー効率の改善策を優先して講じなければならない。
■ クリーンな輸送への投資
改正CO2基準規制により、欧州で登録される新車の乗用車とバンは、2035年までにすべてゼロエミッションとなることが保証される。
新たな「代替燃料基盤規則(AFIR)」では、欧州道路沿いの充電・水素燃料補給基盤の必須導入目標が設定されている。
「ReFuelEU航空規制」では、持続可能な航空燃料(SAF)促進に関するEU全体の統一ルールとして、航空燃料供給会社がEUの空港に供給する航空燃料におけるSAFの最低混合比率を引き上げることを義務付けている。「FuelEU海事規制」では、船舶で使用されるエネルギーの年間平均の温室効果ガス(GHG)強度を段階的に削減する目標を設定することにより、再生可能燃料や低炭素燃料の導入を促進する。
[DW編集局]