[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
英国研究・イノベーション機構(UKRI)
元記事公開日:
2023/11/29
抄訳記事公開日:
2024/01/05

BBSRC、英国初の生物科学・繁栄パートナーシップ・プログラムを開始

BBSRC launches UK’s first bioscience prosperity partnership programme

本文:

(2023年11月29日付、英国研究・イノベーション機構(UKRI)の標記発表の概要は以下のとおり)

バイオテクノロジー・生物科学研究会議(BBSRC)は、第1次繁栄パートナーシップ・ファンディング(prosperity partnership funding)において、英国の企業・学術界間の10件の共同研究を支援する。

効果的な抗がん剤の開発から産業プロセスによる環境影響の軽減まで、これらのプロジェクトは、イノベーションを賦活化し、生物科学やバイオテクノロジー部門が直面する重要な課題に取り組むことを目的としている。

総額4,200万ポンドを超える10件のプロジェクトは、BBSRCが主導する、UKRIの研究会議間連携を通じて資金提供を受ける。BBSRCによる1,300万ポンドの投資は、UKRIの工学・物理科学研究会議(EPSRC)および医学研究会議(MRC)からの約500万ポンドによって補強される。UKRI の資金に加えて、企業と学術界からさらに2,400万ポンドが投資される。

■ すべての人のための肌の健康

世界保健機関(WHO)は、2050年までに世界人口の22%が60歳以上になると予測している。高齢化する人口にとって、健康な皮膚を維持することは非常に重要である。研究はこれまで欧州人の白い肌に焦点を当ててきたが、Boots社とマンチェスター大学は、この新たな資金を活用して、これまで成功を納めてきた共同研究を拡大し、あらゆる皮膚の色素沈着を研究する。この研究は、皮膚の健康と老化に関する包括的な製品と治療法の開発を促進するものである。皮膚、目、髪の色に関与するメラニンと、その皮膚の状態に対する影響を研究する。

このプロジェクトの目的は、万人にとって効果的な皮膚の健康ソリューションをもたらす、高品質で包括的な皮膚の研究と教育を実施することである。

■ 持続可能な繊維産業

繊維産業は、世界的に最も重大な汚染源の1つであると考えられている。毎年12億トンの温室効果ガスを排出し、9兆リットルの水を使用している。これはロンドンからシドニーまでの往復約1億3,500万回分の排出と、オリンピックサイズのプール225万個の水に相当する。水質汚染の17%~20%が、この産業に起因すると推定されている。

そのため、繊維産業が環境に与える影響を大幅に軽減する産業プロセスの変革が急務となっている。Colorifix社はケンブリッジ大学と提携し、染色プロセスに天然色素と酵素を使用することで、この目標の推進を目指している。これにより、英国は持続可能な繊維染色のマーケットリーダーとしての地位を確立することになる。

■ 創薬と探究

Almac Discovery社とクイーンズ大学ベルファスト校の共同研究により、生物によって発現されるタンパク質の総体であるプロテオームの未知の領域を探究するための中核研究拠点を創設する。

この研究は、特に現在効果的な治療法のない疾患に対して、生物学的ツールやこれまでにない治療薬を創製するための新たな出発点を見つけることを目的としている。このパートナーシップは、重要な創薬研究を超えて、この分野のスキルの開発と強化も目指している。

この中核拠点は、地域的・国際的な研究開発のための資源を確立することを目指している。研究に最先端技術を使用するのは北アイルランドでは初めてであり、将来の薬剤が標的とするタンパク質についての理解が大いに深まる事が期待される。

[DW編集局]