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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- マックスプランク協会(MPG)
- 元記事公開日:
- 2024/02/08
- 抄訳記事公開日:
- 2024/03/22
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核融合実験でエネルギー生成の記録達成
- 本文:
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(2024年2月8日付、マックスプランク協会(MPG)の標記発表の概要は以下のとおり)
英国にある「欧州トーラス共同研究施設(Joint European Torus:JET)」で、欧州のチームが、これまでの最大のエネルギーを生み出す核融合実験に成功した。ミュンヘンのマックスプランク・プラズマ物理学研究所(IPP)の研究者を加えたこのチームは、0.2mgの燃料から69メガジュールのエネルギーを生成させた。しかしプラズマに点火するために、核融合が生成したエネルギー以上のエネルギーを要した。エネルギー収支をプラスにするには、国際熱核融合実験炉(ITER)のような、大規模な核融合設備が必要である。
欧州の研究コンソーシアムであるユーロフュージョン「(Eurofusion)」は、最も先進的な磁気核融合の概念を追求している。IPPは、ASDEXアップグレード型(トカマク型)とWedelstein7-x型(ステラレータ型)の大規模実験により、ドイツでこの研究を進めている。
JETでは、2023年10月3日、5.2秒間のプラズマ放電中に69メガジュールの核融合エネルギーが、高速中性子の形で放出されるという世界新記録を樹立した。これは、5秒間で59メガジュールという2021年の自身の記録を更新するものであった。
IPPのカッパトゥ博士(Dr. Athina Kappatou)は、「この実験の主な目的は、将来の発電所で必要となるさまざまな条件を達成し、現実的なシナリオをテストすることであったが、今回、2年前の実験を上回ることができたことは大きな成果であった」と述べた。このキャンペーン全体は、現在南フランスで建設中のITERや、計画中の欧州核融合原型炉(Demo)の運用に不可欠である。
JETの記録では、いまだプラスのエネルギー収支を達成できていない。これを達成するためには、核融合装置は、ITERの場合のように、所定のサイズを超える必要がある。
昨秋に行われた記録的な実験(JETにおけるプラズマ放電回数104,522回)は、JETにおける最後の実験となった。40年にわたるJETの運転は、2023年末に終了した。
[DW編集局]