（2024年3月14日付、科学技術情報通信部の標記発表の概要は以下のとおり）

第58回国家科学技術専門会議運営委員会は、この間科学技術基本法第12条の2に基づいて2025年国家研究開発投資方針を検討してきた。同委員会は、2月21日開催の主要分野別「科学技術政策および投資方針討論会」などを通じて研究現場の意見を集約し、「2025年国家研究開発投資方針および基準」原案を作成した。

そして、これを産業界・学界・研究機関懇談会や国家科学技術諮問会議民間委員事前懇談会などに諮り、修正・補完を施した。科学技術情報通信部はこうして完成したものを3月15日の第7回国家科学技術諮問会議審議会議に「2025年国家研究開発投資方針および基準（案）」として報告し、企画財政部および関係省庁に通知する。同「方針および基準」は、政府R&D投資の方針と基本原則を示すものであり、政府R&D予算の配分・調整指針として活用される。

投資方針は先導型R&Dへの転換を本格的に進めるということであるが、そのために研究開発投資システムの高度化が進められる。具体的には、第一に全省庁が一体となって動くような効率的な予算を配分・調整できるシステムが構築される。第二に、急変する技術環境に対応するために、迅速かつ柔軟な投資システムへの転換が行われる。第三に、国民に信頼される透明な予算システムが構築される。
投資実施方針は、第一に政府R&D投資全般に先導・挑戦を目指す意識を植えつけることである。それに見合ったR&Dには政府が惜しみなく支援し、代表的なプロジェクトには特典が与えられる。また、民間では困難な分野には、政府が先頭に立って投資する。

実施方針の第二は、イノベーションを主導する国際的R&D中心国になれるようにすることである。そのために、このような目標に貢献できる大規模フラッグシッププロジェクトを発掘する。また、主要技術分野には、特定の国や地域に限定せず支援する。特にAI、先端バイオ、量子といった3大ゲームチェインジャー技術には、イノベーションプラットフォーム国として主導的な役割を果たせるよう投資する。

第三に、国家人材を育てるR&Dに集中的に投資する。具体的には、若い世代が安定して研究を続けることができる環境を作り、きめ細かく支援していく。また、優れた研究者には手厚い支援を行っていく。

第四に、新成長を引っ張る科学技術を開発し、技術主権を確立する。そのためには、ゲームチェンジャー技術分野において、2030年までに世界上位3国に入れるよう積極的に予算を拡大する。また、半導体や2次電池など先端産業分野では、他国との技術格差を維持するための次世代技術はもちろん、サプライチェーンのポイントとなる技術にまで支援範囲を広げる。さらに、宇宙やサイバー空間といった領域の技術自立化および標準の先占や、新たな脅威に対抗して国土と国民を守る技術（エネルギー、食糧、資源など）の開発にも投資を強化する。

[DW編集局]