[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
クープラン・コンソーシアム、高等教育・研究省など
元記事公開日:
2024/04/30
抄訳記事公開日:
2024/05/13

クープラン・コンソ、エルゼビア社と4年契約で合意

Signature d’un accord global de lecture et de publication avec l’éditeur Elsevier

本文:

 フランスの高等教育・研究260機関で構成する「クープラン・コンソーシアム」(CC)は4月30日、国内の代理機関を通じ、オランダに本社を置くデータサービス企業、エルゼビア社と2024~27年の4か年の購読契約を締結することで合意した。CCや高等教育・研究省(MESR)などが同日、発表した。国内のオープンアクセスの取り組みを加速させるテコにしたい考えだ。

 CCは、書誌情報へのアクセスや論文掲載を容易にする目的で、複数の高等教育・研究機関が共同でアーカイブを利用するための連合体。MESR管轄の「高等教育文献機構」(ABES)を通すなどして、エルゼビア社のほかに「EDP Sciences」「Wiley」「Open Edition」「Cambridge University Press」など、世界の計9媒体と個別に契約を締結している。アクセス権を持つ加入機関は契約ごとに異なる。

 CCは今回もABESを通して締結。発表によると契約期間は2024~27年の4か年で、うち24年についてはこれまでの契約料金からの値上げをしないこと、また25年以降も値上げ幅は1%以内に抑えられることが確認された。そのうえでエルゼビア社と次の3点を合意したとしている。

 ▽「Complete Freedom Collection」誌、「Bibliothèque Médicale Française」誌、「Journal of the American College of Cardiology」シリーズの5誌などに掲載された全記事を閲覧できること。

 ▽完全なオープンアクセス676件を含む約2,500件の論文リストに、加入機関所属の著者が、論文掲載料を負担することなくオープンアクセス状態で迅速に論文を掲載できること。

 ▽国立のアーカイブプラットフォーム「PANIST」で2024~27年に購読されたコンテンツに恒久的にアクセスできる権利を担保するとともに、別のプラットフォーム「ISTEX」について、23 年までに公​​開された記事をより充実させること。

 CCはこれまでにも、2018年と22年に「EDP Sciences」と、さらに22年に「Wiley」と、それぞれ購読や掲載の契約を結んでいる。CCは声明で「完全なオープンアクセスに向けた交渉を今後も続け、『ビブリオディベルシテ』(Bibliodiversité:文献多様性)(※注)を実現したい」としている。

 CCは加入機関の拠出金とMESRの補助金により運営されている。1999年の発足当初の加入機関はわずか4大学で、契約媒体はエルゼビアのみだったが、その後徐々に増え、2023年9月6日現在では大学99校、グランドゼコール93校、研究機関27機関、医療機関27機関など計260機関が参加。フランスのオープンアクセスの取り組みを象徴する存在となっている。

 (※注)ビオディベルシテ(Biodiversité:生物多様性)をもじったフランス語。

[DW編集局]