[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究省(MESR)
元記事公開日:
2024/03/18
抄訳記事公開日:
2024/05/15

研究インフラに関する国家戦略

La stratégie nationale des infrastructures de recherche

本文:

(2024年3月18日付、高等教育・研究省(MESR)による標記発表の概要は以下のとおり)

MESRは3月18日、新しい研究インフラに関する全国ロードマップを発表した。

研究インフラは、原子核物理学、高エネルギー物理学、材料科学、天体物理学・天文学、高性能コンピューティング、環境観測、気候学、生物学、人文科学、社会科学など、さまざまな分野で優れた研究を支えている。近年は領域横断的な研究活動が増え、その結果、国内、欧州および国際レベルでの研究関係者間の相互依存が高まっている。

研究インフラの利用は、ほとんどの分野において、科学的競争力と国際的影響力の観点で不可欠であり、重要な経済的、産業的、技術的主権の問題にも関わる。

◇国家研究インフラ2021のロードマップ

研究インフラの分野における国家や欧州の戦略は、ロードマップの形で具体的に示されている。今回の新しいフランスのロードマップは、2008年以来5回目の改訂版となる。これまでのものとは異なり、研究インフラの状況の戦略的により徹底した分析を目指し、また、この分野におけるフランスのコミットメントに従ってオープン・サイエンスとデータという分野横断的な問題に特に配慮している。

今回の新しいロードマップは、以下の方針に従って区別された4つのカテゴリーの研究インフラが対象となっている。

▽法的な政府間協定に基づく国際的な科学機関(OSI):協定により機関の目的、参加条件、運営組織、利用方法および参加国の財政的貢献が定められているもので、天文学における欧州南部観測所(European Southern Observatory、本部はドイツ・ガルヒンク)などが該当する。
▽従来は大型研究インフラ(TGIR)と呼ばれており、今回の国家ロードマップではIR*で示され、研究事業者の科学的責任の下に置かれているが、国の政策に関わるものとしてMESRによる予算配分の対象となる研究インフラ:CERNの大型ハドロン衝突型加速器(Large Hadron Collide:LHC)などが該当する。
▽IRで示され、研究事業者の責任の下で科学的な戦略を立て継続的に予算を確保していく研究インフラ:生物多様性データ全国拠点(Pôle National de Données de Biodiversité:PNDB)などが該当する。
▽フランスの研究環境においてすでに存在し、重要性を有しているが、現状では未成熟なものとして過渡的に位置付けられており、ロードマップの次回更新時に新たな分析の対象とされるプロジェクト::欧州脳研究インフラ(European Brain ReseArch INfrastructureS-France:EBRAINS-FR)などが該当する。

これまで研究インフラに関する国家戦略は、2008年、2012年、2016年、2018年版として発行されており、この2021年版は、研究・イノベーション総局(DGRI)の主導の下で、分野別の研究連合と国立研究機関が重要な役割を果たした共同作業の成果である。

[DW編集局]