[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
英国研究・イノベーション機構(UKRI)
元記事公開日:
2024/03/27
抄訳記事公開日:
2024/05/22

大型研究・イノベーション・インフラへの投資を発表

Major research and innovation infrastructure investment announced

本文:

(2024年3月27日付、英国研究・イノベーション機構(UKRI)の標記発表の概要は以下のとおり)

新規5件のインフラ・プロジェクトが総額3億8,800万ポンドを分担する。さらにUKRIのデジタル研究インフラ・プログラムを支援するため、8,500万ポンドが追加される。

UKRIインフラ基金からの投資は、次のような幅広いニーズに対応する。

■ 英国の自然科学コレクションのデジタル化

DiSSCo UK(英国分散型科学コレクション・システム)は、英国全土の自然科学コレクションをデジタル化する10年計画のプログラムである。この自然科学コレクションには、46億年という驚異的な歴史に及ぶ1億3,800万点以上の資料が保管されている。

DiSSCo UKは、最先端のデジタル化イノベーション・技術を活用して、画期的な科学研究を推進する。データがデジタル化されると、世界的な課題に取り組むために情報を自由に利用できるようになり、膨大な社会経済的効果をもたらす。世界中の科学者たちはこれらのコレクションを利用して、生物多様性の損失への対応から将来のパンデミックの予防策まで、地球規模の問題解決に取り組むことになる。 また、食品や医療などのセクターで英国に約20億ポンドの経済効果がもたらすと予想されている。本プログラムはUKRIインフラ基金から1億5,560万ポンドの拠出を受ける。

■ 世界で最も強力な高エネルギー電子顕微鏡

相対論的超高速電子回折・イメージング(RUEDI)は、超高速イメージングのための世界で最も強力な高エネルギー電子顕微鏡であり、世界最速の電子回折施設になる。これにより、不可逆的な超高速プロセスを観察、定量化、理解することで、英国は大きな競争上の優位性を得ることができる。

RUEDIは、持続可能なエネルギー、先端材料と量子技術、構造生物学における科学的発見と進歩を推進する。これらの比類のない機能により、科学者は次のような動的変化を研究できるようになる。

・持続可能なエネルギーの生成、貯蔵、変換技術につながる基礎的な原子拡散メカニズム
・生細胞内の生物学的機能により、より優れた薬剤設計を実現
・爆発、地震、高度な製造プロセス時の材料の構造的完全性
・量子コンピューティング・量子技術を推進する電場と磁場の相互作用

RUEDIを使用することで、研究者は、静的な構造の前後ではなく、材料内の基本的な動的構造や化学プロセスをリアルタイムで直接観察・測定できるようになる。同施設はチェシャー州の科学技術施設会議(STFC)デアズベリー・キャンパスに拠点を置き、UKRIインフラ基金から1億2,440万ポンドの助成を受ける。

■ 国際協力の支援

別のプロジェクトでは、米国エネルギー省(DOE)との提携でUKRIから5,880万ポンドの支援を受け、物質の性質に関する根本的な問題に取り組むための検出器と加速器のインフラを新規開発する。これは、米国ニューヨークのブルックヘブン国立研究所にある新規大型粒子加速器施設である電子・イオン衝突型加速器(EIC)に設置される。

■ 英国の質量分析能力の向上

さらに別のプロジェクトであるCritical Mass UK(C-MASS)は、分子の特性を識別する技術である質量分析における英国の能力を統合し、進歩させる国家的なハブアンドスポーク方式のインフラとなる。質量分析法は幅広い科学研究で使用されており、C-MASSにより大規模なスクリーニングとデータのアクセス・共有が加速される。C-MASSはUKRIインフラ基金から4,935万ポンドの支援を受ける。

[DW編集局]