[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究省(MESR)
元記事公開日:
2024/04/02
抄訳記事公開日:
2024/05/22

インタビュー:大学のインクルーシブ化に貢献するアティピー・フレンドリー

Interview : Atypie-friendly contribue à rendre l'université inclusive

本文:

(2024年4月2日付、高等教育・研究省(MESR)の標記発表の概要は以下のとおり)

神経発達障害(TND)は人々の学習、就職等に影響を与え、高等教育の支援が重要となる。アティピー・フレンドリー(Atypie-friendly)は、TNDの学生を支援する国家プログラムであり、政府の5か年投融資計画「フランス2030」によって資金提供を受けている。プログラムは、神経発達障害国家戦略の一部を構成している。

2018年にアスピー・フレンドリー(Aspie-friendly)として設立。2023年、すべてのTNDに支援活動を拡大するためアティピー・フレンドリーとなった。自閉症の人々を受け入れる大学に対して、入学促進、生活改善、専門的な就職の支援を提案してきている。このプログラムは、大学の障害者対策の中に位置付けられ、個々人に合わせた支援を提供しており、またTNDに関わるスタッフや他の学生の認識を深めることを通じてインクルーシブな大学を構築することを目的としている。

このプログラムの責任者であり、国家高等教育戦略の取りまとめなど、その様々な経験が特異なニーズを持つ人々の高等教育へのアクセスの問題に取り組むことにつながっている。ベルトラン・モンチュベール氏へのインタビューを行った。

――このプログラムの起源は?
自閉症の人々の高等教育へのアクセスは、長い間看過されてきた特殊な問題であったが、様々な専門家を集め、未来投資プログラム(PIA)により構築することができた。

――目的やツールは?
TNDに関する意識を高め、情報を提供し、社会や職場との関わりを促進し、学生を支援することである。このため必要な訓練、施設、教材等を用意し、個別のサポートの機会を提供している。最終的には誰もがそれぞれに学業の修める機会があるという真のインクルージョンを備えた大学を構築することである。

――アティピー・フレンドリー・カフェとは?
TNDの学生を含む参加者がTNDに関連するテーマを語り合える場である。そこでは特別な症状を理解している人々が、思いやりを持って交流し、互いに助け合うことができる。

――インクルーシブな大学とは?
今は完全には存在しないが、学生は様々な背景を持っており、この多様性を踏まえた上で学業の達成を実現できる教育機関といえる。

――自閉症の学生が高等教育を受けるときの困難は?
学習意欲があることは強みではあるが、大学で自分の道を見いだし、新しい人間関係を築き、自立性を獲得することは難しい。

――最善の支援に向け教育機関が注意すべき点は何か?
さまざまなプロファイルに基づいて教育面での適応にまず傾注しつつ、教育チーム自体の支援、住まいや食事など生活面への配慮が重要である。社会的に多くのパートナーを集めた質の高い協力が成功の鍵である。

――専門的に社会参加に向けた準備は? 組織の役割は?
専門的な社会参加は大きな課題であり、就職の面接および履歴書の準備、就職説明会の開催、またインターンシップなどを実施している。

――創設以来、支援方法の変化は?
一万人以上が関わり、自閉症の学生やTNDの人々が抱える課題に対する認識が高まっている。多くの課題は残されているが、教師の教え方、自閉症の学生の仕事の仕方への理解で効果が上がっている。

――2022年に拡大されたTNDとは? またこのプログラムの取り組みは?
主に注意欠陥多動性障害(ADHD)、失読症・統合運動障害等の諸障害であり、自閉症のツールを応用している。障害の間で共通し、また異なる問題もあるが、インクルーシブな大学を構築するという目標を念頭に置いて取り組んでいる。

[DW編集局]