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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 首相府投資総務庁
- 元記事公開日:
- 2024/05/22
- 抄訳記事公開日:
- 2024/05/23
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「AIクラスター」に9拠点を採択
France 2030 : L’IA comme un accélérateur et un différentiateur d’innovation
- 本文:
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フランスのマクロン大統領は21日、昨年から政府が進めている人工知能(AI)の新しい研究拠点形成プログラム「AIクラスター」に9か所を採択し、3億6,000万ユーロを投じることなどを発表した。またAIへの投資を国の優先事項として改めて強調し、2022~26年の5か年投融資計画「フランス2030」(5年間の予算枠合計540億ユーロ)からの支出が計25億ユーロになることも明らかにした。
フランス政府は2018年から、AI研究のエコシステム形成などを目的として「AI国家戦略」の遂行に着手。22年からはAIを実体経済に実装させ、国際的競争力や工業力を上げることを目指す「第二期」に移行しており、政府は「研究・教育の強化」「専門技術の実装」「需給のマッチング」を政策の主軸に置いている。
今回発表された「AIクラスター」はこれらの一環として、昨年5月にマクロン氏が自ら構想を発表。フランスでは2019年にAI研究拠点形成プログラム「人工知能領域横断研究施設」(通称トロアジーアー)が始まっており、この枠からはすでに4拠点が採択されていたが、これらを含めながら「約5億ユーロの資金を投じて5~10個程度のクラスターを起こさねばならない。それにより卓越した拠点を2~3か所形成し、世界最高レベルの人材を輩出したい」(マクロン氏)として、新たな拠点を公募していた。
今回採択された9か所は、下記の通り(拠点名称(設置主体)=支援額。★印はトロアジーアーからの採択)。
- PR[AI]RIE (パリ科学人文学大学)=7,500万ユーロ★
- MIAI Cluster(グルノーブル・アルプ大学)=7,000万ユーロ★
- Hi! PARIS Cluster 2030(パリ工科大学)=7,000万ユーロ
- PostGenAI@PARIS(ソルボンヌ大学)=3,500万ユーロ
- ENACT(ロレーヌ大学)=3,000万ユーロ
- DATAIA-Cluster(パリ=サクレー大学)=2,000万ユーロ
- ANITI IA Cluster(トゥールーズ大学)=2,000万ユーロ★
- 3IA Côte d’Azur 2030(コート・ダジュール大学)=2,000万ユーロ★
- SequoIA(レンヌ大学)=2,000万ユーロ
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またマクロン大統領は同日、「AIクラスター」以外にも、複数のAI関係の支援プログラムについて採択結果や支援額を発表した。内容は次の通り。
- 「未来職能プログラム」で新たに採択2件。この結果、AI関係のプロジェクトは14件(8,700万ユーロ)に。
- 「生成系AIのための共通デジタル基盤」で新たに採択7件。
- 「組み込みAI」で新たに採択8件(4,000万ユーロ)。
- 「エコロジカル・トランスフォーメーションのための簡易型AIの実証」で新たに採択8件。
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政府は、同日の大統領発表にあたり、これまでにAI関係で次のような成果が得られていると発表した。
- AI関係のスタートアップを600例達成した(2021年から23年まで24%増)。
- うち50%が黒字、または向こう3年間での黒字転換が期待される。
- スタートアップの76例は生成系AI(音声、文章、動画、画像)関係である。
- AI関係の企業により、2022年は32億ユーロの資金が投入された。
- AI関係への外国投資プロジェクトで欧州でナンバーワン。
- 世界的なAI企業(Google, Meta, Hugging Face, Dataiku, Tata Sons Accenture)による研究拠点の集約でナンバーワン。
- 最も影響力の強い現存モデル(Llama 2, Llama 3, Mistral Largeなど)は、フランスではすでに導入または発展段階にある。
[DW編集局]