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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ドイツ工学アカデミー(acatech)
- 元記事公開日:
- 2024/05/15
- 抄訳記事公開日:
- 2024/06/27
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人工知能による理数教育の強化
MINT Nachwuchsbarometer 2024 : Mit KI die MINT-Bildung stärken
- 本文:
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(2024年5月15日付、ドイツ工学アカデミー (acatech) とヨアヒム・ヘルツ財団の標記発表の概要は以下のとおり)
今年の報告書「数学、情報学、自然科学と技術(MINT)と後継世代の関係を指標でみる。2024年販」でも、MINTの全分野における重要な研究成果をとりまとめている。特に数学の成績低下に焦点をあて対応方法を提示している。また、MINT教育における高いドロップアウト率を減らすために人工知能システムの活用を薦めている。
MINTの中でも数学は最も難しく、2012年と2022年を比較すると、15歳のグループにおいて39ポイント低下しているが、これは1年間の学力差に相当する値である。そこで報告書では、数学を現実的な課題とセットで考えることを提案し、例えば海洋動植物に悪い影響を与えない海上風力発電所の立て方のように具体的な問題解決を数学を使って考えさせることが有効であるとしている。acatechのヴェルナー会長は、「博物館、学生研究センター、学生のためのラボのような学校外での学習は、自然科学知識の習得において幅広い機会を提供し、自然科学研究における最新の知見を提示する」と述べている。
本報告によると2023年には48万9,000件の職業訓練契約が結ばれた(職業訓練契約とは、初等教育を終え高等教育には進まず、職業教育を選ぶ生徒が企業等と結ぶ契約を指す)。職業教育においてMINTは人気があり34%を占めている。課題はこれらのMINT分野を選んだ生徒の30%が最後まで職業教育をやりとげないことが多いことである。生徒側の誤った期待、あるいは生徒に対する過大な要求もみられるので、生徒の職業選択において人工知能を活用した生徒へのアドバイスをすることが取り入れられている。高等教育の分野でも同様の活用が考えられる。
(参考)「MINTと後継世代の関係を指標でみる」(MINT Nachwuchsbarometer)について
本報告は、MINT分野における後継世代の状況について、ドイツ全体の重要な数字、データ、事実を収集し、分析するものであり、教育分野についても初等教育、職業教育、高等教育のすべてを包含している。中心的な指標をモニターすることにより、MINT教育の現状と活動分野、さらには後継者世代の高等教育や職業教育の選択に影響を与える要因や動機に関する情報など、実証的な知識を提供している。 [DW編集局]