[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
上院(元老院)
元記事公開日:
2024/06/18
抄訳記事公開日:
2024/06/21

外国介入は「重大な懸案」 MESR、対策強化へ

Mobilisations étudiantes propalestiniennes : « Aucun lien n’est établi entre ces mouvements et des puissances étrangères déterminées », explique Sylvie Retailleau

本文:

 シルヴィー・ルタイヨ高等教育・研究大臣は18日、フランス国内の高等教育・研究機関に対する外国の介入行為について「油断ならない。国家主権の観点から重大な懸案だ」などと述べ、高等教育・研究省(MESR)としてセキュリティ対策をさらに強化する考えを示した。

 議会上院(元老院)の外国勢力対策調査委員会に出席したルタイヨ大臣は「外国がわが国の高等教育・研究機関に介入しようとする試みが増加していると認識している」と発言。実際にあった介入の具体的な手法として「従業員の解雇」「資本の乗っ取り」「機密情報の傍受」「司法制度の悪用」などを挙げた。また「中国の国費留学生は現地の中国大使館への報告義務を負わされている」などと述べ、改めて警鐘を鳴らした。

 フランスの高等教育・研究機関に対する外国勢力の介入をめぐっては、2021年11月にアンドレ・ガトラン上院議員(当時)が報告書「ガトラン・レポート」を提出。同書は、中国政府が語学講座や文化交流の推進を謳って世界各地に設置している「孔子学院」がフランス国内に17か所(同)ある事実を記述する一方、外国による深刻な介入と判定された例が10件にとどまっていることなどから、▽フランスでは介入の全体像がわからない状態である、▽高等教育・研究機関の「予算不足」「ガバナンスの弱さ」「開放的な土壌」が弱点になっている――ことなどを指摘。これらを受けてMESRは対策を進めていたが、今回のルタイヨ大臣の発言は、一連の対策が必ずしも十分ではないと総括したことになる。

[DW編集局]