[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
英国保健安全保障機構
元記事公開日:
2024/06/13
抄訳記事公開日:
2024/07/16

VDEC、結核に対する抗菌薬耐性を減らすツールを開発

VDEC develops a tool to reduce antimicrobial resistance to tuberculosis

本文:

(2024年6月13日付、英国保健安全保障機構の標記発表の概要は以下のとおり)

ワクチン開発評価センター(VDEC)は、薬剤耐性(AMR)の発現を減らし、患者治療を改善するため、ヒト型結核菌に対抗する化合物ライブラリを、一般的に使用される化学療法薬と組み合わせてスクリーニングするためのツールとして、標準化された分析法を開発した。

結核菌により引き起こされる結核は、年間160万人の死者を出している。薬剤耐性の上昇により、結核の治療は特に困難になり、薬剤耐性の脅威が増大している。2035年までに結核を撲滅するというWHOの目標を達成するためには、治療期間を短縮し、AMR結核菌を標的とする戦略を含む新たな治療法が緊急に必要である。

結核治療を改善するための重要な目的は、再発率を高めたり抗生物質耐性菌の発生を促したりせず、抗生物質治療期間を短縮することである。ピラジナミド(PZA)は、結核菌に対する最前線の化学療法の主要成分であり、6か月の短縮された治療コースにおいて重要な役割を果たす。PZA活性を高めることで耐性の出現を減らし、治療期間を短縮し、患者が消費するPZAの量を減らして毒性効果を軽減することができる。

PZAのin vitro評価は標準化されていないために避けられることが多く、その結果、PZA活性を評価・増強するための効果的なin vitroツールが不足している。VDECでは、まず(1)PZAが活性となる酸性条件を再現する発酵槽モデルでPZAを評価するための条件を定義し、(2)次にこの知識を、活性分子をスクリーニングし、さらに特性評価を行うための標準化された分析法の開発に適用することで、このギャップに対処した。

VDECは産業界のパートナーとの共同プロジェクトを通じて、大規模な化合物ライブラリ(80,000種類以上の化合物を含む)をスクリーニングし、PZAの効能を高め、毒性を軽減して寿命を延ばす分子を検出した。この方式は、他のAMR病原体に対する化合物ライブラリのスクリーニングにも、適用されている。

[DW編集局]