[本文]
-
- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ライプニッツ協会(WGL)ドイツ経済研究所(DIW Berlin)
- 元記事公開日:
- 2024/07/26
- 抄訳記事公開日:
- 2024/08/27
-
ドイツのための選択肢党(AfD)の成功と地域的要因の関係
- 本文:
-
(2024年7月26日付、ライプニッツ協会(WGL)ドイツ経済研究所(DIW Berlin)の標記発表の概要は以下のとおり)
高齢化、教育水準、将来への不安: これらがドイツ東部での「ドイツのための選択肢(AfD)」の成功の要因であり、移民が最重要な理由ではない。
連邦憲法擁護庁によって部分的に右翼過激派と分類される「AfD)と、新たに産声を上げたザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟(BSW)(左翼党に属していたザーラ・ヴァーゲンクネヒトが2024年初頭に立ち上げた政党)は社会の構造がうまく機能していない地域における選挙で成功している。
両ポピュリスト党は東部の特に高齢化した地域や教育水準の低い地域で強い。ドイツ西部でも所得の低い地域や、自動化の拡大により雇用が脅かされている産業従事者が多い地域で優勢である。西部地域ではこれに加え、ドイツのパスポートを持たない人の割合の高いこととAfDとBSWに対する支持との間での関連がみられる。これらがドイツ経済研究所(DIW Berlin)の新たな研究結果の要点である。
この研究では2024年の欧州議会選挙の結果と、ドイツにおける382の選挙区のデータをリンクさせた。経済状況(家計収入、若年失業率)、経済構造(産業労働従事者割合)、人口構造(年齢、高校卒業者に占める大学入学資格取得者の割合)、移民(外国人の割合)など8つの変数を利用している。
調査された構造的特徴のほぼすべてが、AfDの選挙結果に対して影響を及ぼしているが、東部の選挙区では高齢化と教育水準のみが関係している。BSWの選挙結果では低所得、移民の多さ、高齢化が決定的要因となっているが、東部地区では高齢化のみの影響が大きい。もっともBSWはAfDが成果を出した地区すべてで成功したわけではない。特に社会構造が否定的な特徴の地域ではAfDの方が強い傾向にある。
2019年の欧州議会選挙と比較するとポピュリスト党への支持が11%増えている。票の増大の主な要因は、前回の選挙以来、それらの選挙区における経済面、社会構造面、人口構成面での不平等が改善されてこなかったことにあると研究者はみている。「政治家はドイツ全土における生活条件を可能な限り平等にするとともに、取り残された地域に対してチャンスを与えるべきだ。」とDIW Berlinのマクロ経済部長であり本研究の共同執筆者であるクリヴォルツキー氏(Alexander Kriwoluzky)は述べている。
[DW編集局]