[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2024/08/28
抄訳記事公開日:
2024/09/27

NASEMがDODに対して半導体技術戦略を提言する報告書を公表

Defense Department Should Invest in Leap-Ahead Semiconductor Technologies, Work to Reshore Production Capabilities, and Strengthen Industry and Interagency Engagement, Says New Report

本文:

(2024年8月28日付、全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)の標記発表の概要は以下のとおり)

NASEMのグローバル・マイクロエレクトロニクス委員会は、コンセンサス報告書「Strategies to Enable Assured Access to Semiconductors for the Department of Defense(国防総省(DOD)による半導体への確実なアクセスを可能にする戦略)」を取りまとめ、DODの重要課題の一つである先端半導体技術へのアクセスを確保するために新たな多面的な戦略が必要である、と結論付けた。

本報告書は、基材のサプライチェーンから必要な専門労働力の確保に至るまで、グローバル半導体エコシステムにおける米国の競争力を分析している。そして、次のような取り組みをDODに推奨している。

▽DODが半導体・科学法によって確立された省庁間の連携を基礎として、民間部門、大学、他省庁との長期的な投資、連携、調整を行うこと、そして、最近発足した「マイクロエレクトロニクス・コモンズ」イニシアチブのような官民パートナーシップを引き続き活用すること。

▽最先端半導体が海外や外資系企業によって生産され続けるという重大なリスクに対処するため、DODは他省庁と連携し、これらの最先端能力を米国で再保有する、あるいは、さまざまな友好国にまたがるサプライヤーの多様なネットワークを維持することで、「フレンド・ショア」化すること。

▽DODは、自ら課した規制および管理上の障壁によって半導体企業との関係が悪化しているため、その官僚的な調達のハードルを下げ、民間半導体企業との関係を構築する新しい方法を採用すること。

▽DODは、イノベーションの最前線にあり続けるために、破壊的な 「リープ・アヘッド 」半導体技術への資金提供および積極的な関与による投資を優先すること。

▽半導体・科学法を通じて多様な研究開発イニシアチブに資金を提供しているDOD、商務省(DOC)、エネルギー省(DOE)、国立科学財団(NSF)は、効率的な資金提供を促進するため、省庁間で戦略的な整合性を確保する正式な調整を行うこと。

▽DODは、運用システムを最新に保つための対策を講じること。これは、古い運用システムで使われるレガシー半導体は、最新半導体よりもセキュリティリスクが高く、性能も低いためである。

▽DODは、包括的な近代化戦略を追求し、迅速に交換できるものを含め、より先進的な半導体の採用を加速させること。

▽半導体分野の労働力として必要な人材を確保するために、高等教育に革新的なアプローチが必要であり、教育機関、産業界、DODがこれらの問題を克服するために協力すること。例えば、DODは、マイクロエレクトロニクス労働力イニシアチブを、国立標準技術研究所(NIST)およびNSFが推進している半導体・科学法イニシアチブと調整すべきであり、また、必要な人材へのアクセスを向上させる移民法改革を推進するために、他省庁とも調整すべきである。

[DW編集局]