[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
パスツール研究所
元記事公開日:
2024/08/19
抄訳記事公開日:
2024/09/17

Mpoxの流行:検査とワクチン接種の準備が完了

Épidémie de Mpox : « Nous sommes prêts à tester et vacciner »

本文:

(2024年8月19日付、パスツール研究所の標記発表の概要は以下のとおり)

8月14日、世界保健機関(WHO)は、中央アフリカにおけるクレード1の Mpoxウイルスの活発な伝播と、東アフリカにおけるより致死的で伝染性が高いその亜型(1b)の最近の拡大を踏まえ、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)を宣言した。これにより、地域の保健システムを強化し、国際的な流行を防止するためすべての関係者を動員することとした。

翌8月15日、スウェーデンは、欧州で初めてクレード1b Mpoxの陽性例を報告し、8月16日、フランス政府は、その医療体制を最大限の警戒の下に置き、症例発生に備えるため2022年のMpoxの流行時に確立した健康勧告の再評価を始めた。

このような状況の中、パスツール研究所は、以下の措置を直ちに講じることとしている。

1. 今週末以降、保健総局(DGS)の発動を受け、同研究所生物学的緊急対応ユニット(CIBU)は、保健当局の要請に基づき、関係医療機関と連携協力して、パリの病院等で採取された採取された疑わしいサンプルを分析し、Mpoxの診断を確定する。

2. Mpox患者の治療実績を有するパスツール研究所医療センターは、患者を最適な安全条件(負圧隔離チャンバーでのサンプリング、サンプルの取り扱い等)の下で診察できるようにし、関係医療機関と連携して治療を行う。

3. 上記医療センターは、保険当局の指示の下、2022年、感染リスクが高い1,500人以上に実施したように、健康勧告の対象となりうる全ての人々にワクチンを接種する。

さらに、パスツール研究所は、国立エイズ・ウイルス性肝炎研究機構の新興感染症部門(ANRS-MIE)と協力して、数年前から行ってきた中央アフリカでのMpoxに対する研究を強化し、このウイルスに関連する流行を持続可能な方法で防止することを決定した。

▽目的は、ウイルスの動物リザーバー、動物からヒトへの感染およびヒトからヒトへの感染のメカニズム等の解明であり、得られた専門知識は、地域の保健当局により今後の公衆衛生対策に活かされることとなる。

▽本研究は、現場で実施可能な検査による診断能力の強化や、シーケンシングによるウイルスのサブタイプに関する知識の強化に役立つ。

▽パスツール研究所では、Mpoxとそのさまざまな株に対する治療とワクチンを長期的に改善するための研究が進行中である。例えば、現在利用可能な主要な抗ウイルス剤であるテコビリマットの機能を分析し、その有効性を判断するとともに、その機能を補完する分子に関する研究を実施中である。

さらに、パスツール研究所は新しいモノクローナル抗体、メッセンジャーRNAワクチン等に関する研究も行っている。

パスツール研究所のヤスミン・ベルカイド所長は、「このMpoxの出現は、感染症のリスクが生活の一部となっており、日々深刻化している。グローバル・サウスを含め流行発生場所近くでの対策を中心に世界規模で持続可能な対策が必要であることを示している」と述べている。

[DW編集局]