[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ユーリッヒ研究センター(FZJ)
元記事公開日:
2024/08/28
抄訳記事公開日:
2024/10/03

ユーリッヒ発、グリーン水素のための2つのパイオニア的成果

Zwei Wegbereiter für grünen Wasserstoff kommen aus Jülich

本文:

(2024年8月28日付、ユーリッヒ研究センターの標記発表の概要は以下のとおり)

2つのパイオニア的成果とは、①産業規模の電解槽テストベッドの完成と、②アフリカ水素地図の公表である。

ユーリッヒ研究センターは本日、グリーン水素生産のための最先端技術による電解槽テストベッドを完成した。これにより先端的なセンサーを用いた産業レベルでの試験を行えるようになった。この施設はシーメンスエナジー社が調整役となるDERIELプロジェクトにより設置されたが、このプロジェクトは連邦教育研究省(BMBF)の推進する3つの大規模水素プロジェクトの1つである、H2ギガ(H2Giga)の一部をなしている。その目標は「ドイツ製」電解装置の効率性と耐久性の向上である。

産業と輸送の大部分は、水素利用によってしか気候中立に貢献できない。そのため、大規模水素プロジェクトH2Gigaはこの電解槽に取り組むことになった。BMBFは約5億ユーロでこのプロジェクトを支援しており、そのうち約1億ユーロがDERIEL共同プロジェクトに投じられている。新しいテストベッドで開発されるPEM電解槽は、プロトン交換膜ともいわれるポリマー膜を使っている。このタイプの電解槽は、急激な負荷変動にも動的に対応できるため、特に再生可能エネルギーに適している。

完成式典にはBMBFのグリーン水素イノベーション委員でもあるマンスマン(Till Mansmann)連邦議会議員も出席し、「ドイツは水素技術の主導的プロバイダーとなる。そのためには、ドイツ製の電解槽を競合他社の製品より、より効率的で、長寿命なものにする必要がある。これこそ、ユーリッヒ研究センターが実現しようとしていることである。」と語った。

BMBFはまた、同じ国家水素戦略のもとで西部、東部、南部アフリカのグリーン水素生産ポテンシャルを調査するH2ATLAS AFRICA」プロジェクトを進めており、マンスマン議員の訪問の機会に最終報告書が手交された。

H2ATLAS AFRICAの成果は、アフリカを地域ごとに区切り、そこでの水素生産可能性を調査したことである。調査結果によれば、アフリカは自らのエネルギー需要を賄えるだけでなく、グリーン水素の主導的な輸出者となる可能性を持つことがわかった。BMBFのGo Green Go Africaイニシアティブの一環をなすH2ATLAS AFRICAプロジェクトの目標は、水素経済を通じたアフリカ大陸の持続的な経済発展の支援である。面積当たりでグリーン水素に対する可能性が一番大きい場所はサハラ砂漠と南部のナマ-カルー生態系地域である。

[DW編集局]