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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ドイツ工学アカデミー(acatech)
- 元記事公開日:
- 2024/09/19
- 抄訳記事公開日:
- 2024/10/22
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インダストリー4.0の研究紹介:新しい技術は製造業の仕事をどのように変えるのか?
- 本文:
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(2024年9月19日付、ドイツ工学アカデミー(acatech)の標記発表の概要は以下のとおり)
インダストリー4.0研究諮問委員会の新しいコンパクトな刊行シリーズの第1回として「インダストリー4.0 研究アドバイザリーボード」は、新技術が生産現場の作業者の仕事をどのように変えていくのかという問題を取り上げた。技術基盤とともに、可能性と挑戦すべき課題が簡潔かつ具体的に根拠をもって解説されている。
現在、柔軟な勤務時間、在宅勤務オプション、自律性、フラットな職場構造がより重要さを増してきており、これらの傾向は、新型コロナ感染症でさらに顕著となっている。いくつかの調査によれば、このような形態を上手く取り入れた企業では、従業員の満足度と生産性が向上し、さらにはイノベーションの加速化が起きている。
このような展開は知識を基盤とする仕事で起きているが、生産現場の従業員は、生産現場にいなくてはいけないとか、柔軟性のない勤務時間のような、別の課題に直面している。しかし、製造業でも変化は感じられる。「コボット」というロボットは簡単に操作でき、特別な知識は不要である。生成AIを基盤とした「コパイロット」は作業者に仕事の手順を示すし、デジタル作業者配置ツールはチーム内の調整を上手に行う。さらに拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、重層現実(MR)などは、新しい形のインタラクションやトレーニングを可能にし、これまで未開拓だった可能性を引き出すことができる。
これらの進展を踏まえ、これらの技術が生産現場の従業員にどのような機会とリスクをもたらすのか、また導入の際にどのような要素を考える必要があるのかという疑問が生じている。生産性の向上と従業員の幸福を両立させるためには、慎重な導入が必要である。
インダストリー4.0研究アドバイザリーボードの委員でヴァイツェンバウム研究所の所長であるクリュトゥチンスキー(Prof. Martin Krzywdzinski)氏は、「新しい技術は効率的な生産過程ばかりでなく、興味深く、学びやすい仕事の可能性を提供するので、新技術を取り入れる際には従業員をできるだけ早い段階で組み入れていくことが求められる。」と語っている。
インダストリー4.0研究アドバイザリーボードについて
この委員会は戦略的な独立した委員会であり、ドイツのイノベーションシステムと価値創造の強化を目的として、インダストリー4.0の発展と実装に役立つソリューションを特定し、今後の方向性を示すことを任務とする。科学と産業界の代表者31人の委員から構成される。インダストリー4.0における研究は、持続可能性、レジリエンス、相互運用可能性、技術的戦略的主権、人間の中心的役割に焦点をあてる。委員会の仕事は連邦教育研究省(BMBF)の支援を受け、ドイツ工学アカデミー(acatech)と、「カールスルーエ・プロジェクト管理機関」によって監督される。 [DW編集局]