（2024年10月16日付、欧州委員会（EC）の標記発表の概要は以下のとおり）

欧州各国が国際競争力を持ち、安全で、持続可能な国となるためには、より優れた研究、インパクトあるイノベーション、技術の拡大が必要である。本日、EUの研究・イノベーション枠組プログラムであるホライズン・ヨーロッパとその後継プログラム（FP10）に向けた専門家委員会の提言が、欧州委員会に示された。

この提言は、ポルトガルの元科学技術高等教育大臣エイトール（Manuel Heitor）氏が議長を務める15人の専門家からなる委員会よって起草された。「整合、行動、加速（Align, Act, Accelerate）：欧州の競争力を強化ための研究、技術、イノベーション」と題された報告書は、EUの研究・イノベーション枠組プログラムの欧州の付加価値と下記の12の提言を示している。

1. 統合アプローチ（whole-of-government approach）を採用し、研究・イノベーションを競争力とクリーンなデジタル経済に関するEUの戦略に整合させる
2. 枠組プログラムの強化を通じて、ハイインパクト研究、イノベーション、スケールアップを促進し、ヨーロッパの国際競争力を高める
3. 卓越性、産業競争力、社会的課題の解決、強固な研究・イノベーションのエコシステムに重点を置き、欧州の付加価値を実現する
4. ARPAモデルの取り組みなど、迅速な資金調達を備えた破壊的イノベーションログラムを開始するためのパイロットユニットを設立する
5. 優秀な人材を引き付けるために、欧州研究会議（ERC）、欧州イノベーション会議（EIC）、マリー・アクションへの資金提供を拡大する
6. 産業の研究とイノベーション投資を強化し、戦略的自律を確保するため、産業競争力・技術評議会（Industrial Competitiveness and Technology Council）を設立する
7. 主要な社会課題への対処とEU の戦略的優先事項をすり合わせ、慈善事業や市民社会と連携するために、社会課題評議会（Societal Challenges Council）を結成する
8. 長期的な投資を確保し、大学間の連携を促進し、加盟国の共同投資を奨励することで、包括的かつ魅力的なEU研究開発エコシステムを構築する
9. 管理上の負担を軽減することで、迅速な資金調達を可能にし、申請プロセスを合理化・簡素化する
10. 需要主導のソリューションを通じて産業の拡大を促進するための革新的な調達プログラムを開発する
11. 特定の分野や世界的な地政学的考慮に合わせてパートナーシップを調整し、最適な戦略で国際協力に取り組む
12. 民間と軍事の研究開発プログラムを独立して管理し、安全保障と民間のニーズに利益をもたらすことで、デュアルユース技術のイノベーションを創出する

これにもとづき、専門家は研究イノベーション予算の増額や焦点を絞った予算の確保を求めている。ホライズン・ヨーロッパの中間評価に関する専門家委員には、2023年秋に域内からさまざまな背景を持つ15人が任命された。

[DW編集局]