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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ヘルムホルツ協会持続可能性研究所(RIFS)
- 元記事公開日:
- 2024/10/04
- 抄訳記事公開日:
- 2024/11/05
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ラウジッツ地域の構造改革は、環境の持続可能性への配慮が不十分
Ökologische Nachhaltigkeit kommt beim Lausitzer Strukturwandel zu kurz
- 本文:
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(2024年10月4日付、ヘルムホルツ協会ポツダムセンター 持続可能性研究所(RIFS)の標記発表の概要は以下のとおり)
ブランデンブルク州ラウジッツ地域(ラウジッツはドイツ東部からポーランド、チェコに及ぶ地域の名称で褐炭採掘で栄えていた)の構造改革のために連邦政府から103億ユーロ、州政府から数億ユーロがつぎ込まれている。しかし、これらの資金によるプロジェクトはラウジッツ地域を持続可能な発展の方向に導いているのであろうか?RIFSの研究者はこれに疑問を抱いている。州政府の決めた持続可能性戦略に掲げられた目標が実際には機能していない。変化を促すために関係各省は持続可能性をより重視するとともに、資金配分の実施において協力する必要がある。
RIFSの研究者は書類の分析と政策関係者、企業および市民からのインタビューをもとに、ラウジッツにおける褐炭産業からの撤退における持続可能性の役割について調査を行った。報告書の著者であるコンラート・ギュルトラー氏は、「彼らの多くが持続可能性についての理解が十分ではなく、持続可能性目標は中心的な役割を果たしていないことが、インタビューからわかった。排出削減、気候変動対応技術、教育・健康インフラなどの分野では持続可能性からの観点も考慮されていたが、自然保護、水、持続可能な消費の分野では反対にほとんど、あるいは全く該当するプロジェクトがなかった。」と語る。プロジェクトの重点は経済成長、多様化、そして雇用の創出に置かれている。
国連の定めた持続可能性目標と州政府の持続可能性戦略は、ここでの構造改革において決定的な役割を果たしていない。連邦法と州法において持続可能性は目標として設定されておらず、予算配分に当たっての基準として言及されているにすぎない。専門家のインタビューにおいても、意思決定機関において持続可能性はほとんど議論されていないことが判明した。「連邦政府と州政府は地域の変革の方向付けにもっと寄与すべきである。」と共著者のダヴィッド・レウ-ベアは言う。現在のところ、各省は予算配分の優先項目についての打ち合わせをほとんど行っていない。
改善を図るためには、事業を実施する際に後から何を行ったかわかるように正確な記録をつけていくこと、それと事業を実態に合わせて変更していける可能性を高めるための監視・評価システムを設けることが有効である。事業を変更する際には、市民社会、市民、子供、若者の参加を得ていくことがプロジェクトの持続可能性を高めることに役立つ。褐炭産業からの撤退には非常に大きい予算が講じられているので、包括的な持続可能性へ向けた変革に役立つやり方を見つけ出し、適用することが重要である。ここから得られた教訓は将来の構造改革プロセスをより強固なものとすることができる。
[DW編集局]