[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究省(MESR)
元記事公開日:
2024/11/05
抄訳記事公開日:
2024/12/06

博士号を産業界においてより一層活用するための報告書

Vers une meilleure valorisation du doctorat dans le monde de l’entreprise et de l’industrie : le rapport Pommier-Lazarus remis à Patrick Hetzel et Marc Ferracci

本文:

(2024年11月5日付、高等教育・研究省(MESR)の標記発表の概要は以下のとおり)

パトリック・エゼル高等教育・研究大臣とマルク・フェラッチ産業大臣は5日、全国博士課程教育ネットワークの元会長であるシルヴィ・ポミエ氏とテック専門投資ファンドのエライア(Elaia)のアソシエイト・ディレクターであるグザビエ・ラザルス氏による標記の報告書を受理した。

この報告書は、フランス社会における博士号の位置付けを大胆に全面的に見直すことを目的として、国際的なパートナーと比較して博士号取得者の就労進展に遅れが見られることに着目している。フランスの博士号取得者は25歳から34歳の人口のわずか1%であり、OECD平均(1.3%)を下回り、スイス(3%)や米国(2%)などに比べてもかなり低い。また、民間企業での存在感も依然として低く、エンジニアが企業研究者の56%を占めている一方で、博士号を取得した研究者はわずか11%である。

この状況は、構造的側面全般、教育、および経済関係者による博士号に対する認識に関して、一貫した行動を取ることにより、学術界にとどまらず、フランスにおける博士号の価値を一層高めるという文化的変革を必要としている。

両大臣は、この報告書の提言の中で次の措置に注目している。

▽欧州のすべての高等教育および研究機関において、優等生コース、成功例および教育機会に注目させるよう、「欧州博士デー」を設けて博士号の活用を促進する。

▽博士号という学位と博士号取得者の雇用に特化した全国的なプラットフォームを創設し、博士課程教育と経済界との関係を促進するように調整し、また雇用部門の代表者を博士課程の教授陣が効果的に関与することにより、博士課程教育と雇用の結びつきを改善する。

▽工学部の学生に博士課程進学を奨励して、国内研究エコシステムの一員となることを促進し、エンジニア教育と研究の関係を強化する。

エゼル大臣は「博士号取得者と民間セクターとのつながりの欠如は、両者にとって機会の損失であり、イノベーションと競争力のための貴重なスキルが失われている。この報告書の具体的な提言は、公的研究と産業界との架け橋を強化し、博士号取得者により多くの就労機会を提供するロードマップを充実させるものとなる」と評価した。

またフェラッチ大臣は「フランスの産業競争力は、イノベーションおよび大学と企業との緊密な連携にかかっている。博士号取得者の専門的なキャリアは、学術界と産業界との間にこれらの架け橋を築く上で重要であり、この報告書は、研究と産業の相乗効果を高めるために迅速かつ具体化にできることを示している」と謝意を述べた。

[DW編集局]