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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
- 元記事公開日:
- 2024/12/05
- 抄訳記事公開日:
- 2025/01/06
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NASEMがNIHに対して、女性の健康研究のための新研究所の設立を提言
- 本文:
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(2024年12月5日付、全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)の標記発表の概要は以下のとおり)
連邦議会の委任を受け、NASEMの「女性の健康に関する国立衛生研究所(NIH)研究の評価委員会(Committee on Assessment of NIH Research on Women’s Health)」が、NIHの後援のもと研究を行い、関連報告書を取りまとめた。本報告書では、女性の健康に関する研究ギャップに対処するため、NIHが女性の健康に焦点を当てた新たな研究所を設立し、この研究に対する監督、説明責任、支援を機関全体に拡大するための変更を加えるべきであると述べている。
女性の健康に関する多くの課題は、未だ研究によって解決されていない。本報告書の分析によると、2013年から2023年までのNIH助成金支出のうち、女性の健康研究は8.8%であり、NIHの予算は着実に増加しているにもかかわらず、NIH全体の資金に占める女性の健康研究への資金の割合は減少している。NIHの「女性の健康研究オフィス(Office of Research on Women’s Health)」は資金不足であり、女性の健康を改善するためのブレークスルー創出が遅れている状態にある。また、NIHの現在の組織構造では、女性の健康研究のギャップに効果的に対処することが困難である。さらに、多くの女性の健康状態(子宮内膜症、子宮筋腫など)や女性特有のライフステージ(更年期を含む)は、既存の27のNIH研究所やセンターのいずれにも管轄されていない。
このような背景から、本報告書は、連邦議会に対し、NIHの「女性の健康研究オフィス」を昇格させ、新たな研究所を設立し、NIHの既存研究所が対象としていない女性特有疾患に関する研究を主導し、実施し、支援する責任を与えるよう提言している。加えて、女性の健康と性差の研究および人材育成に投資するため、今後5年間で157億ドルの新規資金を計上するよう提言している。これは、女性の健康研究に対するNIHの年間平均投資額の約2倍に相当する。157億の内訳は、新研究所のための専用資金40億ドル、学際的な女性の健康研究を支援・育成するためのNIH全体の新基金設立のための114億ドルであり、さらに、この分野のキャリアパスを支援・拡大するための資金にも言及している。
本報告書は、NIH所長が、女性の健康に関する研究ポートフォリオを監督し責任を負い、センターや研究所の所長が、その管轄下にある女性の健康研究に対する支援を強化すべきであると述べている。さらに、NIHが生物学的変数としての性を分析する研究に対する方針の支援と実施方法を見直すべきであり、教育やトレーニングのリソースを拡大し、助成対象者が過去の研究や出版物においてどのようにポリシーに従ったかを評価すべきであると述べている。
また、本報告書は、NIHが女性の健康に関する発見や治療のブレークスルーをもたらすことができる研究者を惹きつけ、支援する協調的な取り組みを求めている。加えて、女性の健康に関連する分野での学際的なキャリア開発とメンターシップを促進する研修プログラムを強化・新設する必要性を述べている。
[DW編集局]