[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
首相府
元記事公開日:
2024/11/29
抄訳記事公開日:
2025/01/07

フランス工業を支援する方策「工業のための野心」の発表

Soutenir l'industrie française

本文:

(2024年11月29日付、首相府の標記発表の概要は以下のとおり)

ミシェル・バルニエ首相(当時)は11月29日、フランスの繁栄、主権、結束に向けた工業支援方策を発表し、フランスを再工業化し、長期的な生産の地にすると表明した。

フランスは1970年代以来、脱工業化の傾向を深めてきたが、近年この流れを逆転させている。2023年には189の工場が新たに稼働し、2万8,000の雇用が生み出された。2024年第1四半期も工場の閉鎖と稼働の正味のバランスがプラス36で、同年後半も新規起業が継続して増加すると見込まれており、再工業化のダイナミズムが戻ってきている。フランスは、欧州のEY(アーンスト・アンド・ヤング社)魅力バロメータでは首位となっている

一方で工業に関わる課題は山積し、競争力や魅力は従来に増して重要となっており、とくに米国、中国の対外経済政策の下、事業環境は地政学的に不確定な状況にある。

本方策の主な内容は、以下のとおり。

1. 工業の脱炭素化とグリーン産業の支援:補助金の支援を受けた欧州域外企業との競争の中で革新的な脱炭素化を進めるため、高い透明性と見通しを自国企業に与えつつ、公平な競争を促す税制措置を講じる。
2. 企業の問題に寄り添う行動:企業が直面する問題を早期に検知し、支援するため、脆弱な産業系列の強化を目指す「かすかな兆候(Signaux faibles)」というプラットフォームを創設し、2025年度予算で必要な財政措置を講じる。
3. 工業の雇用の促進と従業員の再就職の支援:的確な労働力を確保し、リクルート時間の短縮や労働者の能力の維持・向上を図り、労働者の再就職と賃金および専門性における継続性の確保を支援するため、雇用前の人材養成の充実、職業転換促進の財政支援を進め、さらに専門職業転換プロジェクトの優先的運用等を行う。
4. 工業の保護と競争力の強化:企業のイノベーションを促進するエコシステムを維持し、国内および欧州レベルで簡素化政策を促進し、貯蓄を工業への財政的措置に振り向けて重工業の脱炭素化に投資し、脱炭素化され競争力のある電力を供給するため、必要な財政的措置の継続・強化および原子力発電計画の拡充等を図る。
5. 公平な条件で活動できるよう国際競争に最も晒されている産業系列の強化:化学工業系列の問題へ対処し、製鉄業における競争力ある脱炭素化を確実に進め、自動車産業とその全バリュチェーンを支援するため、不公平な競争条件下にある国内の化学工業の実態を把握し、支援する。そして製鉄業の競争力強化のための支援枠組みを継続・強化するとともに、国内では電気自動車購入の補助を継続し、欧州レベルではバッテリー工場の支援、欧州の厳しい規制内容の厳格な実施等を進める。
6. 欧州における生産とエコロジカルな挑戦の連携:生産と雇用を域外移転させずにエコロジカルな転換を図り、生産の国内化を確保しながら脱炭素化を図るため、化石燃料の重さ(輸入費用は教育費と国防費の合計額以上で排出炭素量の39%に相当)を認識しつつ、約束したものも含め将来の炭素排出量削減に相当する一貫性ある脱炭素シナリオの確保、炭素含有量に応じて輸入品に課税する制度の確立等を図る。

[DW編集局]