[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2025/02/25
抄訳記事公開日:
2025/04/02

鉄鋼に関する戦略的対話

Concept Note: Strategic Dialogue on Steel

本文:

(2025年2月25日付、欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり)

欧州の鉄鋼産業は欧州経済の基盤であり、自動車、建設、防衛など多くの分野に重要な原材料を提供している。22の加盟国にわたる約500の生産拠点がGDPに約800億ユーロ貢献し、250万人以上の雇用を支えている。製鉄所は多くの地域経済を支えており、その社会経済的、政治的重要性を際立たせてている。

しかし、鉄鋼業界は現在、大きな課題に直面している。エネルギー価格の高騰により生産コストが上昇する一方で、世界的な非市場的な慣行を背景とした過剰生産能力問題や、需要の減少により価格が下落している。その結果、EUの生産量は縮小し、現在の稼働率は採算レベルを下回っている。これは脱炭素化の足かせとなり、複数の企業がグリーンスチール・プロジェクトへの投資を停止している。

最近発表された「EU競争力コンパス」は、産業競争力を中核的な優先事項として位置づけ、今後数年間の分野横断的な施策を定めている。競争力コンパスでは、脱炭素化は、産業、競争、経済、貿易の政策と統合することで、強力な成長の原動力となるとされている。近日中に発表される「EUクリーン産業協定」では、エネルギー集約型産業を含め、EUが引き続き魅力的な製造拠点であり続けるよう、さらなる横断的措置が定められる予定である。これらを基盤として、セクター別の優先施策をさらに特定し、実行する必要がある。

◼️ 「鉄鋼に関する戦略的対話」の目的

鉄鋼対話の目的は、欧州鉄鋼セクターの競争力を飛躍的に向上させ、EUにおける価値創造と質の高い雇用を守るための優先策を協議によって特定することである。

◼️ 形式と参加者

鉄鋼対話には、鉄鋼メーカー、原材料サプライヤ、購入者などの業界の主要な代表者や、市民社会の代表者が参加する。鉄鋼業界全体にわたる利害関係者とのより広範な協議も実施され、繁栄と産業戦略担当の欧州委員会執行副委員長ステファン・セジョルネのリーダーシップの下で発表される「鉄鋼・金属行動計画(the Steel and Metals Action Plan)」に反映される。EU理事会および欧州議会は、この対話に関する情報を入手し、協議を行う。

◼️ 主な論点

▽競争力と循環性(エネルギー・コスト、原材料の供給、循環型鉄鋼セクターの実現、低炭素水素など)
▽クリーンな生産への移行、脱炭素化、電化
▽貿易関係と国際的に公平な競争条件

[DW編集局]