中国財政部は、「2024年中国財政政策執行状況報告」を発表し、昨年の中央政府による財政支出のレビューを行った。科学技術･イノベーション政策に関しては、イノベーション主導型の発展戦略を進め、産業の近代化を加速するために下記の支出を行ったと報告している。
① 科学技術の自立自強加速
・基礎研究、応用基礎研究、国家戦略の科学技術テーマに注力し、「科技創新2030プロジェクト」を支援した。
・国家実験室、国家科学研究機構、研究型大学、先進科学技術型企業を中心に、国の戦略的科学技術力を強化するための支援を行った。
② 企業の科学技術・イノベーション強化
・優遇税制により企業のイノベーション力を刺激した。
・新たな表彰・補助金制度で、1039社の「専精特新 小巨人」企業に31.17億元の資金を支援した。
・中小企業デジタル化推進モデル都市の第二期として中山市、無錫市など36都市に計27.65億元を支援した。
・科学技術・イノベーション型の中小企業に対する特別債務保証の上限額を1000万元から3000万元に引き上げた。
③ 産業構造の最適化・高度化推進
・製造業高度化転換基金、先進製造業投資基金、国家中小企業発展基金などを通して、半導体、AI、新素材、次世代情報通信技術およびチョークポイント分野へ累計2兆元以上の投資を導いた。
・製造業のスマート化、グリーン化を推進する新技術転換モデル20都市に30億元を投じ、伝統産業の高度化を進めた。

なお、同じく財政部が3月24日に発表した2025年の中央政府予算（総額14兆7460億元）では、科学技術支出は3981億元で2024年の執行額3619億元に比べ約10%の増額となっている。（1元：約21円）
https://yss.mof.gov.cn/2025zyczys/202503/t20250324_3960482.htm

*　「科技創新2030プロジェクト」
　　　　2016年発表の「国家科学技術イノベーション第13次五カ年計画」 で、国家戦略に基づく「国家重大科学技術プロジェクト」に加え、新たな重大プロジェクトとして出されたファンディングプログラムで、次世代AIなど16テーマの研究開発に政府資金が提供されている。

*　「専精特新 小巨人」企業
　　　専門的で技術力、独自性、新規性をもってイノベーションをもたらす中小企業で、この中の優秀な企業を工業情報化部が「小巨人」企業として認定している。

[DW編集局]