[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究省(MESR)
元記事公開日:
2025/04/08
抄訳記事公開日:
2025/05/09

2地域の国立大学で新「経営計画」スタート

Lancement des nouveaux COMP des universités  

本文:

(2025年4月8日付、高等教育・研究省(MESR)の標記発表の概要は以下のとおり)

バティスト高等教育・研究特命担当大臣は4月8日、各国立大学が政府と交わす「事業計画」に相当する「目的・手段・成果契約」(Contrats d’objectifs, de moyens et de performance:COMP)について、新たな枠組みを、ヌーベル・アキテーヌとプロヴァンス・アルプ・コート・ダジュールの2地域圏の大学に導入すると発表した。国と大学との関係性に転換をもたらし、各大学の自律性を一層強化するとともに、制度全体を地域の実情に即したものとすることを目指す。

◇COMPの適用範囲を変更し、「公共サービス任務に対する補助金(SCSP)」の0.8%ではなく100%をカバーする。

従来のCOMPは、SCSPのわずか0.8%にしか適用されておらず、2025年3月の会計検査院の速報監査で、その限界が指摘されていた。今後は「1ユーロ単位からの契約化」により、国家と大学の対話が大学の全体戦略にまで及ぶことが可能となる。COMPの実施状況に基づく年次対話を通じて、契約の進捗を継続的に検証し、必要に応じて投入する財源を調整できる柔軟な運用体制が整備される。

◇地方分権を深化させる。

COMPの締結に先立つ協議は今後、地方大学区長と高等教育・研究・イノベーション(ESRI)担当地方大学区長代理が主導する体制へと移行する。これにより、MESRが掲げる国家の優先課題を踏まえつつ、地域の現実に即した視点から政策を展開することが可能となる。

この制度は、より地域に根ざした契約方式を実現するものであり、特に雇用地域の特性を考慮しながら、地方自治体をはじめとする大学の地域パートナーを戦略的な協議に加えることが想定されている。状況に応じて、国立研究機関、民間企業、さらには学生生活に関わる団体の参画も視野に入れられている。

◇新たなCOMPはプロヴァンス・アルプ・コート・ダジュールとヌーベル・アキテーヌの2地域圏でスタートし、その後2026年から全国で実施される。

新たなCOMPは、2025年より両地域圏の10大学において交渉が開始される。

バティスト大臣は、この新制度により、大学の自律性のさらなる強化、国の戦略の地域実態への適応、そして大学・国家・地域の関係者によるビジョンの共有が促進され、大学がより自由に地域の発展に貢献できる体制が整うと評価している。

[DW編集局]