（2025年5月2日付、環境保護庁（Environmental Protection Agency：EPA）による標記発表の概要は以下のとおり）

EPAは、全ての国民にクリーンな空気、土地、水を提供することを目的とした組織改革の取り組みを発表した。本改革は、長官室、大気・放射線局、化学品安全汚染防止局（OCSPP）、および水質局における人事体制や業務構造の再編を伴うもので、科学的知見を政策形成により的確に反映させる体制の強化を図る。

トランプ大統領による「連邦政府の効率化を推進する大統領令」に基づき、EPAは「偉大な米国の復活（Great American Comeback）」を推進する役割を果たしつつ、年間3億ドル超の歳出削減を目指す。

大気・放射線局内に新設される「州大気パートナーシップ局（Office of State Air Partnerships）」は、全米で初の試みであり、州・地方・先住民部族の大気排出許可を所管する機関との連携を強化し、規制の一貫性と透明性を確保する。また「大気浄化プログラム局（Office of Clean Air Programs）」の創設により、法的義務と専門機能の調和が進められる。

水質局では、科学と政策の連携を深化させるとともに、サイバーセキュリティ、緊急対応、水の再利用・保全といった新たな課題への適切なリソースが確保される。

今回の再編では、EPAは科学的専門知識と研究機能を各プログラム部門に移管し、法的義務と中核的業務への対応力を強化する。その一環として、「応用科学・環境ソリューション局（OASES）」を長官室内に新設し、研究の方向性を整え、科学を同機関の規制策定や各州への技術支援の中心に据える。

特にOCSPPには、化学物質および農薬審査の大幅な遅延解消のため、130名以上の科学・技術専門人材が加わり、将来的にはAIの活用も視野に入れた審査体制の高度化が進められる。

なお、本年初頭には、環境正義（EJ）および多様性・公平性・包摂性（DEI）に関する部門が廃止され、人員の削減と再配置が行われた。

[DW編集局]