[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
米国競争力評議会(COC)
元記事公開日:
2025/05/28
抄訳記事公開日:
2025/06/25

競争力評議会、イノベーション創出に向け産業基盤とエコシステムの刷新を提言

TLSI: Compact for America

本文:

(2025年5月28日付、米国競争力評議会(COC)の標記発表の概要は以下のとおり)

COCのTLSI(Technology Leadership & Strategy Initiative)は本日、米国におけるイノベーションの促進と加速を目的とした重要な報告書「米国のためのコンパクト(the Compact for America)」を発表した。

TLSIは2009年に設立された、国家安全保障および経済競争力の根幹をなすイノベーションと技術基盤の強化を目指すセクター横断的な戦略協議体である。本報告書は、企業、大学、国立研究所を代表する約50人の最高技術責任者の見識と専門知を結集し、数年にわたる対話と分析を経て取りまとめられたものである。

同報告書は、米国のイノベーションの促進と加速、防衛産業基盤の強化、そして国際競争力の持続的確保の観点から、明確かつ実行可能な10の提言を掲げている。これらは以下の4つの柱に整理されている。

柱1: 研究成果の実用化・拡張・商業展開の加速(技術の成熟から市場導入までの期間の短縮)
提言1: 国家の経済・安全保障上のニーズに応えるべく、米国の研究開発全体において実用志向型(use-inspired)研究の比重を高める。
提言2: 重要技術の迅速な実用規模への展開に特化した投資と活動を拡充し、技術進展と円滑な導入の妨げとなる障壁の除去を優先的に支援する。
提言3: 大学や国立研究所などの開発成果を産業界へ迅速かつ効率的に移転するため、産学連携の拡充、新たな技術移転経路やインターフェースの構築、移転に要する時間の短縮を推進する。
提言4: 重要技術分野、新興分野およびそれらの融合領域における米国の世界的リーダーシップを確保するため、投資の拡大、学際的連携の促進、イノベーション・エコシステムの発展に取り組む。

柱2: 商業イノベーションの防衛産業基盤への迅速な導入(デュアルユース技術の展開の強化)
提言5: 国家安全保障上重要なデュアルユース技術の開発に民間企業が参画できるよう、適切な条件とガバナンスの下で防衛産業基盤の再構築を図る。

柱3: グローバルな技術競争における優位性の確保(標準化主導権、研究セキュリティ、戦略的国際連携の強化)
提言6: 技術標準設定における米国のリーダーシップの重要性を高める。
提言7: 研究セキュリティの重点的取り組みを強化し、強力なセキュリティ計画を実施するとともに、事務的負担を最小限に抑える。
提言8: 経済安全保障と共同安全保障に資する重要技術の研究・開発・展開において、米国の同盟国との戦略的協働を加速する。

柱4: 全米にイノベーション・エコシステムを拡張(地域主導の成長と全国的な技術基盤の構築)
提言9: 米国沿岸部のハイテク集積地域に限定されない、新たな地域イノベーション拠点を育成・拡大し、全米における技術力の底上げを図る。
提言10: 新技術の拡大に合わせて、人材のスキルを確実に向上させる。

[DW編集局]