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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ドイツ連邦経済・気候保護省(BMWK)
- 元記事公開日:
- 2025/05/19
- 抄訳記事公開日:
- 2025/06/19
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ドイツ連邦内閣、リアルラボ法案を閣議決定 :規制学習と技術革新の加速に向けて
- 本文:
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(2025年5月19日付、ドイツ連邦経済・気候保護省(BMWE)の標記発表の概要は以下のとおり)
連邦内閣は本日、イノベーションの試行環境としての実証実験の枠組み条件を改善し、規制に関する学習(いわゆる「規制学習」)を促進することを目的とした法案を閣議決定した。
リアルラボとは、限られた期間中、当局の監督下において、現実に極めて近い条件のもとで新たな技術やサービスを試行できる枠組みである。自律走行車や次世代型モビリティ、無人航空機(ドローン)技術、先進的な都市居住ソリューション、遠隔医療といった分野がその対象となる。
こうした実験は多くの場合、「実験条項」に基づいて実施される。これにより所管当局は、技術的あるいは法的要件の一部や禁止事項について、試行に限り限定的な例外措置を講じることができる。
この枠組みによって、産業界や市民社会、さらには立法機関が、イノベーションが社会経済にもたらす影響、ならびにその潜在的な可能性とリスクについて実証的な知見を得ることが可能となる。その知見に基づいて、規制の在り方を発展的に見直すことで、イノベーションの円滑かつ迅速な社会実装が促進される。
今回の法律案は、リアルラボの活用を、革新的な経済・社会分野において、より柔軟かつ効果的に展開できるよう制度面から支援するものである。特に以下の課題に対応することを目的としている:
・統一性に欠け、かつ過度に制限的な認可プロセス
・事業者・研究機関間の情報共有やネットワーキングの機会不足
・所管行政への知識移転の欠如本法案では、行政による裁量的判断における目標として「イノベーション」を明示的に位置づけることで、企業やイノベーションに親和的な認可手続きの統一を図る。また、知見共有のための明確な組織体制を整備することにより、「規制学習」の質を向上させ、試行された技術やサービスを速やかに社会展開できる体制の構築を目指す。
さらに、現連立政権の合意文書には、リアルラボおよび実験条項の活用強化に向けた野心的な方針が掲げられている。連邦政府は今後、幅広い分野の関連法規に新たな実験条項を盛り込むべく、本格的な制度整備を推進する。これにより、ドイツ国内の企業の国際競争力が強化され、民間投資の喚起と雇用の創出が期待される。
なお、2025年5月以降は、すべての新たな法案に対して、「実験条項の導入によってイノベーションの余地を確保できるか否か」の検討が義務付けられている。
[DW編集局]